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過去のお話を読みたい場合は

カテゴリーを細分化して、お話別に何とかまとめました。
読みたいお話別にすべて読む事が出来ますので、そちらからお探し下さい。

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実話 悲しきシェフの思い 27

2007-04-11

「徳丸さん・・・目を閉じて下さい。そして心から願って下さい。自分の魂が、これ以上迷わずに浄化される事を・・・・そして家族が幸せに鳴る事を」

最後の私の言葉に、徳丸さんはニヤッと笑いながら・・・
「先生・・・キザなセリフを、よくそんなに簡単に言えるな?でも・・・今はそんなキザなセリフが・・・・凄く嬉しい・・・さあ 先生行きましょう!」

「うなずいて、私は奥さんの方を見て、ご主人が上られます」と伝えた。

「はい! 貴方・・・本当にご苦労様。ゆっくり休んでくださいね。最後まで私たちを思ってくれた気持ち・・・凄く嬉しかったよ・・・さようならって言わないよ。またね・・・貴方。」

そう言って奥さんは手を合わせて、深くお辞儀をした。
隣にいるご主人の友人の宮下さんも、泣きながら手を合わせお辞儀をした。

「俺もお前の家族を守っていくからさ・・・心配するな!徳丸!!」
そう叫んだ!

それからどれほどの時間が経過したのだろう・・・
ほんの数分?それとも十数分?

しかし そんな時間の経過も忘れるほど、それぞれの思いの深さであった。

「ご主人は無事に上られましたよ・・・」

私がそう言った瞬間に、棚の上に飾ってあったご主人も写った、家族の写真がタイミングよく、パタッと倒れたのであった。

さすがにこのタイミングには、私ですらぎょっとなってしまったが、奥さんの一言で、その場の空気は救われた。

「本当に成仏したんだわ・・・あの人らしい。最後の気使いです。」
「そうですね・・・律儀に挨拶をしていったようですね。」

「先生・・・本当にありがとうございました。これでみんなが救われました。本当にありがとうございました・・・・」

「うん・・・良かった。」
こうして悲しきシェフの怨念・執念は。間違った形ではなく、人間の心を取り戻して、成仏する事ができたのだった。

この世に残す未練は・・・計り知れない物があるものです。
それを忘れてはいけないのかも知れない・・・
                 完

Posted by kiyoman 22:51:53Comments(3)TrackBack(0)

実話 悲しきシェフの思い 26

2007-04-11

成仏・・・それは人間が肉体を失い、魂だけの存在になった時、その魂が仏様になる為に天上界に上がる事を言います。

徳丸シェフは、成仏の道を今 爽やかな気持ちで受け入れる気になってくれたのだった。

「井口さん・・・私はさっきまでは、自分の事だけしか考えられなかった。憎い悔しい恨めしい・・・
何で自分だけこんな形で死を迎えなきゃいけないんだと・・・しかし 私がここでこうしている間にも、沢山の死者の魂が、私の横をすり抜けて行くんですよ・・・私の顔を見ながら(あんた何してんだよ、こんな所)って・・・そうか・・・俺はこの世に残っていちゃいけない存在なんだと・・・分かっていた。でも、妻に一言、二人の為に残した物を、せめて伝えたかった、そして喜んでもらう顔を、直接見たかった。それで・・・」

「分かっていますよ・・・そんな事は気にしなくて良い。貴方じゃなくともみんなそう思うものです。」

「井口さんでもそう思いますか?」

「はい!私でも同じように思うでしょう。いや・・・私が貴方のような存在になったら、なまじ力がある為に、手が付けられないかもしれませんね?」

「そうかも知れませんね・・・怖い怖い・・・」
そう言って徳丸シェフは笑った。
初めて見せる見せるすがすがしい笑い顔だった。

「奥さん・・・ご主人が決断されました。送ってあげて良いですか?」
奥さんは小さくうなずいて
「貴方・・・子供は私がちゃんと育てます。だから心配しないで・・・旅行ありがとう。」

「では・・・これから徳丸さんをお送りします。」
                   続く

Posted by kiyoman 19:57:40Comments(0)TrackBack(0)

実話 悲しきシェフの思い 25

2007-04-10

奥さんには、ご主人の姿は見えず、声も聞こえずの状態にもかかわらず、まるで会話をしているように滑らかな感情伝達が行われていた。

「幸せだったと言ってくれるのか?こんな俺でも、こんな中途半端な死に方をした俺を許してくれるのか?」
私は同時通訳のようにその言葉を伝えた。

この場合には、出来るだけ間を開けずに伝える事が大切である。
まるで会話をしているようなタイミングで伝えなければ、話が途切れてしまうのである。

「当たり前じゃない!貴方は自分で死を選んだんでもなければ、私たちを残して家出をしたりした訳でもないのよ?望まない死に迎えられてしまっただけじゃない・・・貴方は今も私たちを思って、ここにこうしていてくれたじゃない!これで十分よ。」

「これで・・・これで許してもらえるのか?本当に?だらしの無い男だったのに・・・お前たちをもっと楽しませてあげたかった。守ってあげたかった。」

「今度は、貴方は自分の事を考えて良いのよ。もうゆっくり休んで下さい。ねっ!」
奥さんは思い切り無理した微笑を返した。

「うん・・・そうするよ。旅行だけは行ってくれよな?それだけが俺が最後に望む遺言だと思って・・・」

「はい!必ず・・・ハワイに行きますよ。」
「まさか・・・今頃になって遺言を残せるとは思わなかった・・・ありがとう。井口さん」

シェフは、深くお辞儀をして、礼の言葉を述べてきた。
「いえいえ・・・お役に立てて良かったです。」
私もにこやかに伝えた。
「じゃあ・・・井口さん。頼みついでに・・・私の行く道を示してくれませんか?」
成仏の道を歩む気に なってくれたらしい
                  続く

Posted by kiyoman 21:15:00Comments(0)TrackBack(0)

実話 悲しきシェフの思い 24

2007-04-08

「奥さん・・・ご主人も聞いています。ご主人に聞かせるつもりでお話下さい。」

私は奥さんに、ご主人が立っている位置を示しながらそう言った。

「貴方・・・なんでこんな状況になったまで同じことを言うの?ワンパターンだね。不器用で古臭い考え方で・・・頑固で・・・わからずやで・・・自分勝手で・・・それから・・・えーっと・・・もう無いね。そんな貴方だから好きだったの!いつもそう言ってたよね?」

「井口さん・・・でしたよね?伝えて下さい。お前は本当に優しい女だったよって・・・苦労掛けてしまう事が気がかりで死に切れなかった・・・と」

「分かりました。」
そう言い私は奥さんにそう伝えた。

「苦労なんか・・・貴方だって死にたくって死んだわけじゃないんだし、もしかしたら逆だってあったかも知れないんだし・・・苦労なんか・・・気にしないでよ・・・井口さんのお陰で、貴方の気持ちが十分 分かったから・・・幸せよ。本当に 笑」

奥さんから、笑みがはじめて漏れた。
                    続く

Posted by kiyoman 00:17:50Comments(0)TrackBack(0)

実話 悲しきシェフの思い 23

2007-04-07

「妻には幸せになってもらいたいのです。私はもう死んでしまい、妻の助けにもなれないし、小さい子供を育てながら生きていく事は、物凄く大変な事は知っています。だから・・・もし他の頼れる男が出てきても、俺を気にしなくていい・・・と伝えたかったんです。」

「それを奥さんに伝えても良いんですか?」
奥さんには私の声だけしか聞こえない。

「・・・・・・本当は嫌だ!でも・・・し・仕方ないじゃないか・・・クッ!」
「徳丸さん・・・分かりました。そうお伝えします。ただし、奥様の意思に任せましょう。その後のことは」

私は奥さんの方を見ずに、今ご主人が伝えて欲しいといった事を話した。
「奥さんの選択だし、今 その答えを出す必要はありませんから・・・」
とだけを付け足した。
すると・・・

「相変わらず馬鹿ね。フフッ・・・生前もよく言っていました。こんな俺みたいに家庭を顧みない男より、よっぽどお前を幸せにしてくれる男はいるはずだから・・・もし出来たら言えよな・・・とか良く言ってたんですよ。馬鹿なんだから。」

「確かに・・・俺の口癖か・・・でも今度ばかりは本当に・・・?」
私はご主人を手で制した。
「奥さんの答えに、貴方は従う義務があります。」

私はもう少し奥さんの言葉を聞かせたかったのである。
                  続く

Posted by kiyoman 21:56:01Comments(0)TrackBack(0)

実話 悲しきシェフの思い 22

2007-04-06

シェフに向かう私の顔は、半分閉じたような眼差しであった。

「さあ・・・徳丸シェフ。お聞きになりましたね?全ての話を。」
「ああ・・・聞けた・・・話せた・・・伝えられた・・・あんたのお陰だ・・・さっきは済まなかった。」

一番初めに、私の胸を強く突いて、危うく転落死しそうになった行為の事をいっているのだ。
マンションやビルからの自殺以外の転落死は、もしかすると、今回のように、霊が絡んでいる事も、稀にあるのかもしれない。

「大丈夫です。気にしていません。」
「怖かったんだ・・・伝えられぬままに、俺を消そうとしているような、強い力を感じて・・・死ねないという言い方は編かもしれないが、魂までも・・・と思ったら、無意識に手が出てしまったんだ。許して欲しい。」

「・・・・・」
「もう思い残す事は無くなった。そのお金で、いい思い出を作ってきて欲しい。そして・・・妻には幸せになって欲しい・・・と伝えて下さい。」

                   続く

Posted by kiyoman 21:39:58Comments(0)TrackBack(0)

実話 悲しきシェフの思い 21

2007-04-06

思わず釣られてしまう悲しき涙・・・
グッとこらえて、私は向き直った。

「奥さん・・・ご主人の写真を一緒に持って、お子さんとハワイに行って来たらどうですか?」

「今年の夏休み・・・あたりに行きます。
「うん・・・そうだもう宮下さんを部屋に呼び戻していいですよね?」

先ほど部屋から出てもらった宮下さんの事を思い出した。

部屋に入ってきた宮下さんに、事情を一通り話し終えた。
「そうでしたか・・・徳丸さんから聞いた事がありました。俺・・・海外って行った事無いんだって・・・本当はフランスとか行って、修行をかねて、三ツ星を食べ歩いてみたいんだけどな・・・でも、今は女房と子供に、思いっきり楽しんでもらえるような海外旅行に行きたくなってな・・・って」

「それがハワイだと聞いた事はありましたか?」

「ありますよ。一緒に帰る時に、よく旅行センターのパンフを手にとっていましたからね」

「やっぱり・・・奥さん、決まりですね。」
私はさっぱりとした笑みを浮かべて言い切った。

「・・・・」
奥さんも無言でうなずいた。
「これで話はつきましたね。さあ、これからは私とご主人の会話です。お仕事お仕事!」

少しお茶らけながら、二人に背を向けた。
背を向ける途中に私の顔は、それようの顔に変わっていた。
                続く

Posted by kiyoman 20:12:36Comments(0)TrackBack(0)

悲しきシェフ 20の訂正

2007-04-05

昨年亡くなったご主人が残したメモに、今年はハワイに行くぞとありましたが、来年は行くぞ の間違いでした。お許し下さい。

Posted by kiyoman 23:11:14Comments(0)TrackBack(0)

実話 悲しきシェフの思い 20

2007-04-05

金庫の中には一体何が・・・
「井口先生・・・こんな物が入っています。全部出して見ますね。」

そういって奥さんが取り出した物は・・・
「通帳ですね?コレは想像できましたが・・・奥さん見ていいですか?」

「はい!」
「金額的には・・・60万円。へそくりですか?」

「60万円・・・その額って・・・私が行きたいといっていたハワイの旅行金額では?」

「ハワイですか?そういう話は出ていたんですか?」
「はい・・・ずっと以前ですが・・・ただその時には、凄く掛かるねと言って、諦めたんです。

「それで・・・ご主人は黙って貯めていたんですかね?」

「先生・・・このパンフレットは・・・ハワイのです!」
そういった時、奥さんの手元から、パラパラッと落ちた物があった。

今年の夏休みに行く予定・・・驚くぞ!と書かれた行動予定や観光予定が、びっしり書き込まれていた。

「昨年の冬ですよね、亡くなったのは・・・」
「はい・・・そです。その時には主人はハワイ旅行の事を考えていたのですね?」

「そういう事になりますね。金額の事より、奥さんに伝えたかったのは、むしろこの驚かせられなくなった無念の方だったのかも知れませんね。」

私はそう言って、ご主人の方をみた。
ご主人は泣いていた・・・ボロボロと泣きながら、大きく何度もうなずいていた。

「あ・・・あなた。」
再び奥さんも泣き始めた。

こんな涙にあふれた霊視は珍しいのです。
悲しみが一杯の中で、私の表情は、こんな時どうしたらいいのだろうかと・・・頬を何かが伝わりながらも、考えてしまったのです。
                  続く

Posted by kiyoman 22:29:02Comments(0)TrackBack(0)

実話 悲しきシェフの思い 19

2007-04-03

「先生!カチッって言いました。ど・どうしたらいいんでしょう?」

徳丸さんの奥さんは、声が裏返ってしまうくらいに、動揺していた。

「じゃあ、今度はこのカギをそのかぎ穴に差し込んでください。もちろんそっと廻してください。」

「はい・・・やってみます」
今度は重い音で、がチャッと聞こえた。
「先生・・・開きました。何が入っているのか、怖いです。」
そういって逃げようとする。

「大丈夫ですよ・・・ご主人の入れていた物ですから、危害が加わるわけありませんよ」
トラやヘビが出てくるわけではないだろうと思いながらも、気持ちが分からない訳ではないな・・・と思った。

「さあ、奥さん・・・金庫の中を見て下さい。そうすればご主人が何を伝えたかったかが、はっきりしますから・・・」
「ええ・・・分かりました。」
ゴクッと喉がなるくらいの唾を飲み込んで、奥さんは金庫の前に向かった。
                 続く

Posted by kiyoman 19:45:15Comments(2)TrackBack(0)

実話 悲しきシェフの思い 18

2007-04-02

「どうですか?奥さん・・・金庫のような物はありましたか?」

「この中は主人の趣味の物ばかりなので、もともと私が触れなかった場所なんです。本とかアルバムとかが沢山ありますから・・・少し待って下さい」

かなりな重労働のようであった。
しばらくすると
「井口先生!こ・これは・・・・」と後ろに尻餅をついて、奥さんは言った。

私が覗いてみると、巧妙にカモフラージュされた形で、縦20cm×横30cmほどの小さな金庫のような物が見えた。
これは玩具ではなく、本格的な金庫であった。

「奥さん、ここから一旦出してみましょう。重いですから私が引っ張りだします。」

かなりの重さがあるが、ご主人もここにこれを収めたのだから、出来ない事はない。

ただ・・・これを家族の知らない所でやっていた作業と考えると、多少寒気がする。

押入れから金庫を引っ張り出し終えた私は、改めて先ほどの紙片を奥さんに渡した。

「このナンバーをまわしてみて下さい」
簡単にダイヤルの回し方を教えて、私は後ろへ下がった。
                   続く

Posted by kiyoman 22:31:34Comments(0)TrackBack(0)

実話 悲しきシェフの思い 17

2007-04-02

箱の中に入っていた紙片の番号は・・・
「それはそこの押入れの中の下に入っている、本物の金庫のナンバーだ・・・」

「本物の金庫?よくある自宅用などの金庫の事・・・ですか?」
「そうだ・・・でもそんなに大きくないけど」

「奥さん押入れの中を見て下さい?」

話が聞こえていない奥さんは、きょとんとしていたが、私がなにかしら聞いたのだと理解して、押入れの襖を開けた。

「下の段だ・・・」そう指を刺しながら徳丸さんは言った。

「奥さん下の段だと言っています。そこの本物の金庫があるそうです。探してみて下さい。荷物などで隠してあるかもしれませんが・・・」

奥さんは必死に前面に入れてある荷物を全て出し始めた。
                  続く
 

Posted by kiyoman 19:43:17Comments(0)TrackBack(0)

実話 悲しきシェフの思い 15

2007-04-02

ガチャ・・・

その中に入っていた物は、決して大きくも無い紙片であった。
その紙を奥さんが開くと、そこには文字が書かれていた。
○○○○
「この番号は何の番号ですか?」
奥さんは私に、ご主人に聞いてくれという意味で、聞いて来た。

「徳丸さん・・・今の奥さんのご質問は聞こえましたよね?この番号は何の番号ですか?」

「・・・・・・」
「?・・・あっ!そうですか・・・うかつでした」
私はそう言うと、友人の宮下さんに向かって言いました。

「宮下さん・・・少しこのお家に関わる事なので、少しだけ外に出て行ってもらえますか?」

宮下さんもこの言葉に
「は・はい!分かりました。」と言って、外に出て行ってくれました。

あっけに取られている奥さんに、私はご主人からのご希望でしたのでと答えた。

「徳丸さん・・・いやシェフ。宮下さんは出て行きました。これでお話できますよね?」
「シェフの霊は、穏やかな顔で笑い、私に深々とお辞儀をしてきた。
「さあ・・・教えて下さい。」 
                    続く

Posted by kiyoman 11:42:23Comments(0)TrackBack(0)

実話 悲しきシェフの思い 14

2007-04-01

箱から見つかった小さな鍵・・・
目の前にある小さなおもちゃのような金庫・・・

「奥さん、その鍵を差し込んでみて下さい。貴方にあけてもらいたいみたいですよ?」

「・・・・」私の言葉にハッとした徳丸さん。

「うん。徳丸さんジャストミートのようです」
私は少し笑いながら言った。
私の笑った顔と、言葉の意味に気がついたようであった。

「分かりました・・・貴方、開けますよ」
カチャカチャ!カチン・・・

「さあ・・・開けてみましょう?奥さん」
キーッ・・・軽い金属音を立てながら、金庫は開いた。
その中に、シェフの残した物、家族に残した物はいったいどういう形の物だったのだろうか?
シェフの希望が、今 家族に伝えられる・・・
                  続く

Posted by kiyoman 21:18:07Comments(0)TrackBack(0)

実話 悲しきシェフの思い 13

2007-03-30

奥さんは、パンフレット類の間を注意深く調べた。
「先生・・・これは?」
そう言って手渡してきた物は、どこかの鍵であった。
「何処の鍵ですかね?見た所あまり重要な所の鍵ではないようですが・・・会社の私物なんかは調べましたか?」

この鍵が意味のあるものだと思い、聞いてみた。

「会社の私物・・・あっ!そうだ、小さなおもちゃの金庫が入っていました。緑色の・・・おもちゃの金庫のようだったのと、振ってみても何にも音がしなかったので、そのままになっています。」

「その金庫はありますか?」
「はい・・・ちょっと待って下さい・・・」
そう言って奥さんは隣の子供部屋らしき所に入っていきました。

「これです・・・確かに鍵穴がありますが・・・」
そう言って手渡されて金庫は、確かにおもちゃのような金庫でした。
しかしちゃんと鍵穴があり、コンパクトな為、簡単に何かを入れておくためには良いのでしょう。

「鍵を差し込めるかどうか試していいですか?」
「はい・・・お願いします。」
緊張の時が過ぎた・・・
この鍵が合わなければ、探す事は困難な事であろうと思う。

おそらく・・・この鍵が符合するのだろう・・・
ちらっとシェフのほうに目を向けると、小さくうなずく姿が見えた。
                   続く

Posted by kiyoman 00:02:32Comments(0)TrackBack(0)

実話 悲しきシェフの思い 12

2007-03-28

号泣するシェフ・・・

「さあ・・・貴方の言いたかった事をお話くださいますか?その箱の中に何があるのですか?」

「この箱の中には、私が一生懸命に貯めたお金を預けてある通帳がある・・・」
私は奥さんを振り返った?
奥さんは首を横に振り
「通帳なんか、無かったです・・・貴方?この中にそんな通帳は無かったわ!」

「ご主人・・・その通帳は確かにこの中に入れてあったのですか?」
「そうです・・・○○銀行の○○支店に預けてある」

「ご主人・・・この箱の中身を、一回出していいですか?」
「はい・・・いいです」
「奥さん、この箱の中身を、ここに全て広げて下さい。」
私が言うと、奥さんは全てを畳の上に広げた。

中に入っていた物は、領収書と、家族で出かけた事がある所のパンフレット関係が主だった。よほど家族で出かける事が楽しかったのだろう。

「主人は仕事柄、休みがなかなか取れなくて、私たちに悪い悪いが口癖でした。」

「奥さん・・・そのパンフレットの間を、全て確認して下さい。」
私は自分の思い付きを伝えた。
                   続く

Posted by kiyoman 12:36:30Comments(0)TrackBack(0)

実話 悲しきシェフの思い 10

2007-03-27

さっきまでと表情が変わった・・・
目の色も変わった・・・

「聞こえますね、徳丸さん。今の貴方なら」
私はシェフに話しかけた

「俺は・・・俺はあんたに・・・殺そうと思ったんじゃない!ただ・・・今の生活を守りたかっただけなんだ。」
シェフは自分の両手を見つめながら叫ぶように言った。

まだ感情の制御が上手く出来ないようだ。

「今の生活?どんな生活ですか?徳丸さんの守ろうとした生活って・・・」
「私の守りたかった生活って・・・家族を守るという・・・?????」
自分の言葉の矛盾に、突然気がついたように、髪をかきむしり始めた・・・

「そうです・・・貴方は死んだのです。守る事は出来なくなってしまったのですよ・・・悲しいけど」
私の言葉にハッとした顔を上げた。
「守りたかったんですよね?大切な家族ですものね。お子さんも一人っ子で心配だったでしょう?」

「ウオー・・・!私はどうすればいい?どうすればいいのだ・・・・う・う・う・・・」
号泣と言う表現がぴったりのなき方であったが、死者のそれは何故か 悲しみに満ちていた。
                  続く

Posted by kiyoman 22:15:29Comments(0)TrackBack(0)

実話 悲しきシェフの思い 10

2007-03-26

シェフが大切にしていた箱
今その箱を、シェフの前に開いて置いた。

見えないはずの奥さんと宮下さんも、思わず息をのんでしまいそうな、重苦しい空気。
皆が見つめる箱・・・そこだけを見つめて目を離せない・・・
もしかするともう一度・・・ご主人を見ることが出来るのではないかとの期待する目・・・

友人を、なんとか助けてあげたい、伝えさせてあげたいと思う、友人の宮下さんの気持ち

「さあ・・・この箱の中に、貴方が伝えたい何が入っているのですか?」
「この・・・この箱の中に・・・妻に・・・・」

言葉を発する事に慣れていないようで・・・
途切れ途切れの言葉になってしまうもどかしさを
、本人が一番感じている筈である。

その時シェフはしゃがんで箱の中に手を入れた。

「ガタッ」
箱の中に手を入れた時に音がした・・・それをシェフの奥さんが聞いていた。
「今 音がしました・・・聞こえました。主人が音を出すような事をしたんですか?」

「はい・・・今そこの箱の中に手を入れたのです。それでふたがずれて音が鳴ったのです。」
私は状況を説明した。

「そうなんですか・・・やっぱり聞こえたんですか・・・私にも」
再び泣き出した奥さん

それを見つめる・・・・シェフ
あきらかに先ほどまでの顔と違ってきている。
目が・・・優しさを取り戻しているのだった。
                    続く

Posted by kiyoman 23:54:35Comments(0)TrackBack(0)

実話 悲しきシェフの思い 9

2007-03-26

身構えた状態のまま私は、奥さんの横に立つシェフの霊に話しかけた。
「どうする気ですか?奥さんのこの姿を良く見て下さい」

「・・・・・・」
黙ったままのシェフ
写真で見るより、はるかに歳を取っている様に見える・・・
「さあ・・・これから私が貴方の言葉を奥さんに伝えますから、話をしましょう。」

私がそう言うと、奥さんを見下ろしていた顔が、今度は私を見た。
赤い目をした青白い顔・・・
「貴方はもう死んでいるのですよ?お子さんの事が気がかりな事は、私も奥さんも十分分かっています。
でも・・・奥さんは貴方の安らかな死を望んでいます。何か問題でもあるのですか?」

その時シェフの赤い目から、ツーと一筋の涙がこぼれた・・・
そして静かに指を指した。
そこには、整然シェフが几帳面に自分の大切な物をしまってあったという箱があった。

「奥さん・・・この箱は調べましたか?」

「あ・・・この箱は、一度開けただけで中身はそのままにしてあります・・・唯一そのままの物です」

「ご主人はこの箱を指差しています。何かあるのかもしれませんが、今一度開けてもらえませんか?」

私は奥さんにそう指示して、シェフを見た。
小さくうなずくシェフ・・・・
私の前で静かに箱が空けられた

私はそれを受け取り、シェフに見えるように置いた。
                  続く

Posted by kiyoman 17:54:29Comments(0)TrackBack(0)

実話 悲しきシェフの思い 8

2007-03-26

部屋に入っていくと、何ともいえない霊気・・・または冷気を感じる。

誰かがこちらを、息を殺してじっと見つめているような気がする・・・
この時の誰かとは誰かが分かっている。
「徳丸さん・・・出てきてください。お話をしたいのです。奥様がとても心配しています」

何も反応はなし・・・迷っているのか?考えているのか?

それとも襲い掛かろうとして隙を狙っているのか?

その時だった
「貴方・・・私と涼ちゃんは大丈夫よ!心配してくれるのはとても嬉しいのだけれど・・・もう今の貴方じゃ、何も埋められないのよ・・・分かって!」
そういうと奥さんは畳の部屋で泣き崩れた。

私は部屋の中を注意してみた。
その時だった・・・TVのすぐ横に気の乱れを感じた。
それを見落とすわけが無く、移動する霊体を追尾した。
するとその霊体は、無く崩れる奥さんの横で止まったのだった。

「どうする気だ?」
私はどのような状況にも対処出来るような体制で身構えた。
                    続く

Posted by kiyoman 13:48:00Comments(0)TrackBack(0)

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言霊の伝言師

言霊の伝言師
名前 井口 清満
性別
自己紹介 霊関係の仕事に携わっていますが、中身はいたって普通の人間です。
どちらかというと、明るくてポジティブな人間です。
皆さんの期待しているような格好をしていませんし・・・笑
趣味 映画鑑賞
出身地 東京都
居住地 東京都
好きな
食べ物
バナナ・あんみつ・お肉系・・・
ピーマンは大っ嫌いです!!
最近のマイブーム:もりそば・・・

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