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過去のお話を読みたい場合は

カテゴリーを細分化して、お話別に何とかまとめました。
読みたいお話別にすべて読む事が出来ますので、そちらからお探し下さい。

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乗り捨てられた放置自動車 30(最終回)

2008-03-07

本当に人通りの少ない道路だ・・・
これが深夜では目撃者もおそらく・・・
看板には確かに被害者は2人と書いてある。

被害者のその時の洋服の写真も載っている。
白いシャツに紫のカーディガン。
「先生・・・間違いないですね、ここで・・本当に書いてある通りだ・・・あの時先生に聞いた女の子像だ・・・」
小暮さんのご主人が少し興奮気味に言った。
昨夜の恐怖が、相当脳裏に焼き付いていたのだろう。
「これだけ人がいなければ線香をあげましょう。」

2束のお線香に火を点けて、全家族の方が数本ずつお線香を置いて行く。そして手を合わせる。
私はその間に毛利さんとあの女の子を探した・・・
ちょうど横断歩道角にその毛利さんが立っていた・・・頭を軽く下げて・・・
あの子は?どこに・・・・・
いた・・・恐らく飛ばされたのだろう、少し離れた街灯の下に立っている。
「道橋さん・・・少し花とお線香を持って私についてきて下さい。」
「は・はい・・・」
私はその女の子の立つ街頭下にきた。
「道橋さん・・・ここに・・・」
「分りました」
そこに花束と真新しいお線香の煙が広がった・・・
「昨日のおじさん?あたし・・・やっぱり死んじゃった見たい・・・ここ・・しっているもん・・・」
「もう冷静になれたね?そうだ・・・ここで君は・・・車から動けなかった・・・それを解放して、ここに連れて来て成仏させてあげる為に今日は来たんだ・・・」
「こんな無音で・・・孤独な場所にはもう居たくない・・・だから・・・」
「分っている・・・もう終わらせよう・・・犯人は捕まるように、情報提供は警察にしておくからさ・・・君はこれ以上苦しむ事はない・・・いいね?」
「うん・・・お願いします。」
ぺこりとお辞儀すると、頭の傷が痛々しく私の目に飛び込んできた。
そして私は毛利さんの方を見た。
「毛利さんもこちらに来て下さい。これくらいの距離なら動ける筈ですから」

Posted by kiyoman 02:01:38Comments(3)TrackBack(0)

乗り捨てられた放置自動車 29

2008-03-06

まさか・・・被害者が2人とは・・・
いや・・・一人と考えた自分が未熟だった・・・それが純粋に後悔した事だった。

「明日・・・明日必ず・・・待っててくれ。」
名前を聞けなかった事が悔やまれたが、今はその現場で2人の人の魂を浄化させてあげる事が、一番大切な事だと自分に言い聞かせた。
「あっ・・・寒さが消えた・・・急に戻ったぞ?」
小暮さんが驚いた。
「このTVの画面見て!霧を吹いたみたいに一面湿っているは・・・」
小暮さんの奥さんがTVを見ながらそう言った。
確かにあの寒さは夢の中の事のように感じていただろうから、現実的な事と分ったら、さらに驚くのは無理もない話だ。

「先生・・・その女性は?」
道橋さんが重要な事を質問してきた。
「あの人は、毛利さんと同じ場所に縛りつけてあります。そこで冷静さを取り戻すでしょう。今の状態では危険でしたから」
「あのまま・・・だったら恐ろしい霊に?」
「ええ・・・恐ろしい悪霊かしてしまうでしょう。だから今は我慢してもらうしか無かった・・・」
「あした・・・ですね」
そして眠りについた・・・

翌朝・・・我々はBOXカーに乗って現場へ向かった・・・呼ばれるように」

「先生ここですね・・・」
そこには事故現場を表す、立て看板が立てられていた。{目撃者はいませんか}というような内容の看板だった。
被害者は2名・・・まだ花が飾られていた。

事故時刻・・・23時35分頃・・・そうだ・・・。
我々はまず 持ってきた花を二束そこに置いた。
人通りが少ない場所だ・・・車の流れも・・・
               続く
次回 最終回

Posted by kiyoman 00:36:50Comments(0)TrackBack(0)

乗り捨てられた放置自動車 28 

2008-03-05

40471.jpg

記憶と共の恐怖心まで呼び戻してしまう・・・
可哀そうな現実だった。
「怖かっただろうに・・・貴女の名前を教えてくれますか?」
「な・まえ・・・なま・・え・・・お・・・もい・だせ・・ないよ・・・あ・の・・ひ・・わ・たしはじ・・て・んしゃ・・にのっ・・ていたの・・・そうしたら・・・く・る・まが・・き・た・・の・・・まぶ・すか・・・った」
未成仏状態の霊は、霊であって霊でなし・・・痛みや恐怖は生者のと同じである。

「君が車にぶつかった時間は・・・だいたいでもいいから分るかな?」
「あの・・・ひ・・わ・たし・は・じて・んしゃにの・っていた・・・こん・びにのと・けい・・・よる・の・・・11時・・は・ん・・・だった・・・」
「小暮さん今の時間をメモしておいて!」
「はい!メモをしました」
自転車か・・・

「あた・・ま・が・・・・いた・・い」
そう言って女性は自分の頭をおさえた・・・
「な・・・・な・に・・・この・ちは・・・あ・・か・みの・・けがぬけてる・・・なん・で・・・なんで・・」

完全に取り乱している・・・危険だ。
「君を・・・私があの車から解放してあげる。そして明日あの事故現場に行って君を成仏させてあげる・・・それまで待ってくれるか!」

「な・・んで・・・ワタシ・・何もしていないのに!何も悪くないのに!!」
言葉が徐々に戻って来た・・・
それと共の・・・
この部屋に室温が再び急激に下がり始めた。
「井口さん!」
道橋さんがあまりの寒さに震えながら叫んだ!
「分っている・・・ごめん」
混乱していて話が出来る状態ではなかったから、今回は強引に車からの解放をした・・・あまりやりたくない手法だったが、それほどの危険さを感じたのも事実だった・・・
                続く

Posted by kiyoman 00:17:27Comments(2)TrackBack(0)

乗り捨てられた放置自動車 27

2008-03-04

私を睨みつける女性の霊魂・・・

「やばいな・・・完全に怒っている」

「先生・・・さっきからのこの部屋の冷気は・・・その人の?」

「そうです・・・氷のような冷たさを感じます。話を聞いてみますね・・・」

ちゃんと話を聞いてくれるかどうかが心配だった。
しかしこの怒りや誤解を何とかしなければいけなかった・・・私の責任だったから

「ごめんなさい。貴女の事を無視した訳ではなかったのです。気がつかなかった・・・それが真実です。どうか怒りを鎮めてくれないか?」

「ほ・・・ほ・んと・うか?ほん・と・うに・・・無視をし・たん・じゃ・・ない・のだな?」

話し方が少し変だ・・・顔が歪んでいる・・・この被害者は・・・頭を強く打ったのか・・・頭が陥没していた・・・
髪の毛には血がべったり付いていた。
言葉がうまく出せないのはその頭の傷のせいかも知れない。

「無視はしていない、それは本当です。痛かったんだね?その傷・・・あの車のせいで?」
「な・んで・・・私はあ・そこ・・・にいた・・・ん・だろう?わか・ら・ない」

そうか・・・この人は、自分がなぜあの車の所に居て、動けないのか分らないらしい・・・これでは成仏できずに苦しむ訳だ・・・おそらく物凄い痛みと共に

見た感じはジーンズ姿・・・上は白いシャツに紫の大きめのカーディガン・・・

若そうだ・・・
「君はあの車に撥ねられて死んだ・・・可哀そうだが・・・君が撥ねられた場所は、○○だな?」

私が静かに話したら、女性の顔がみるみる変わってきた・・・
記憶がつながって来たようだ・・・可哀そうに・・・
               続く

Posted by kiyoman 01:25:26Comments(0)TrackBack(0)

乗り捨てられた放置自動車 26

2008-03-03

これほど分りやすい現象は、なかなか無いと思った。

私が見詰めた先は玄関から入った廊下とリビングをつなぐドアだった。

「誰かな?貴方は?」

急に話しかけた私に、小暮夫妻と道橋さんは立ち上がった。

毛利さんじゃない・・・誰がこの強引な割り込み方をしたのか・・・

私は立ち上がった3人を手で制して立ち上がった。

その時だった・・・私は大変な間違いと失敗をしてしまっていた事に気がついた。

「まさか・・・貴女も?」

3人は私の言葉に首をかしげながら私の顔を見た。

「貴女もあの車に・・・跳ねられた?」

ドアの前に立った霊は女性だった・・・
まだ年齢は20代後半くらいの・・・

霊は深く頷いた。
その顔は怒りの形相をしていた・・・
上目を使いで睨みつけてきた。

「どういう事ですか?いぐちさん!」
道橋さんが聞いてきた。

「はい・・・私は大変な見落としをしてしまっていたようです・・・あのガラス片と、ガラスの傷にばかり意識が行ってしまい・・・もう一人の被害者に意識を合わせる事が出来ませんでした・・・完全なる見落としです・・・・」

「もう一人?あの車の被害者がもう一人いたんですか?」

小暮さんのご主人が裏返った声で叫んだ。

「ええ・・・」

「でも毛利さんは何も言っていませんでしたでしょう?」

「そうですね・・・ただ未成仏の霊たちは、コミュニケーションが取れません。お互いが同じ車によって被害を受けた死者だとしても・・・だから毛利さんの霊も知らなかったのだと思います。」

何とした事か・・・この女性の前でしたり顔で解決したと思い、みんなで良かったなどと笑顔を交わしてしまっていたのだ。

この人は・・・怒っている。
                続く

Posted by kiyoman 00:33:32Comments(0)TrackBack(0)

乗り捨てられた放置自動車 25

2008-03-02

確かに濡れたままで帰るのは面倒だったので、泊らせて頂く事にした。

翌日 11時頃に集まる約束をして別れた。

その夜夕食を御馳走になっている時に、それは突然起きた・・・・

急激な室温低下・・・・
私の全身に鳥肌が立つ・・・
しかし誰もその異変に気が付いていない。

なんだ?この感触は・・・毛利さん?そんな筈はない・・・明日行く予定にしているし、3日間の間にとの約束だった筈だし。

しかしこの時期に珍しく吐く息が白くなってきている・・・

時間は7時半・・・まだ遅くない時間だし、こんなに室温低下が起きる時間帯ではないし、時期ではない。

すると・・・
「なんか寒くなっていない?この部屋」
小暮さんの奥さんがはじめに言った。

「うん・・・俺もそう思っていたんだ」
ご主人が追随した。

道橋さんも感じていたのか私の顔を見た。

「うん・・・何だろう・・・」

私はただ一点を見つめたままそう答えるだけだった。
                続く

Posted by kiyoman 02:22:11Comments(0)TrackBack(0)

乗り捨てられた放置自動車 24

2008-03-01

「そうですね・・・私は3日以内に行くと約束しましたから・・・その中で行ってくるつもりです。」

私は毛利さんとの約束した場面を思い出しながら言った。
死者との約束は、守らなければいけない・・・(生者との約束も・・・)

「あの・・・私も行って良いですか?」
道橋さんもそのつもりだったようだ。

「はじめに井口さんに話を持って言った時に、最後まで何かをしなければいけないと言う気持ちになっていました・・・予感みたいな・・・感じで。だから・・・」

「うん。いいですよ・・・行きましょう」

「あの・・・私たち夫婦もご同行させていただいてもよろしいでしょうか?」
小暮さんが言ってきた。

「いえ・・・小暮さんだけではなく私たちも・・・せめてその事故現場に花を添えたいと思います。」
一同は再びうなずき合った。

今皆さんは、被害者だった事を忘れて、毛利さんの事を心配してあげていた・・・
優しい人達だ・・・

でも・・・ここでもし私が嘘をついていたり、本当に見えなかったならば、現場に行っても事故の看板も、花も何もない訳だ。

そう言う意味で・・・真剣勝負だった訳だ・・・
みんなで行く事を想定して、毛利さんから事故現場を聞いた訳ではなかったから・・・

怖いもんだな・・・すぐに検証されてしまう訳です・・・
みんなに見えないから、聞こえないからと言って嘘をつく事は許されない真剣勝負。
もちろん私は自信を持って聞き取った。
だから・・・

「分りました。皆さんの気持ち・・・明日行きましょう。行けますか?」


「はい。行きます・・・」
「じゃあ そうしましょう。それから・・・小暮さん、警察に電話をしておいてください。」

「はい。でもなんと伝えれば良いでしょうか?」

「子供たちが遊ぶ場所に、変な破損がある車が放置してあるので、調べてくださいと伝えれば良いのではないかな?」

「なるほど・・・そうします。それから井口さん・・・道橋さんと一緒に嫌でなければお泊りされませんか?明日もどうせ行くのですから・・・」
                 続く

Posted by kiyoman 00:51:37Comments(0)TrackBack(0)

乗り捨てられた放置自動車 23

2008-02-29

小暮さんの家にたどり着いた。
しかし雨が途中で止んだとはいえ、全員ずぶぬれであった。

しかしそんな不快な感情も忘れたように晴れやかな顔で、バスタオルを引いたソファーに座った。

「これで・・・もう主人の原因不明の頭の病気も?」
近藤さんが静かに下を見たまま聞いてきた。

きっと一番聞いてみたかった答えだったのだと思う。
ただ一軒のみ、すでに怖い被害を受けた家だったので無理はない・・・

「ええ・・・すぐに病院から退院の許可が出ますよ。ご安心ください」

「ありがとうございます。でも・・・こんなに関係のない事件や事故が、突然平穏な家に訪れるものなのでしょうか?それとも私の家に問題があったのでしょうか?」

疑問を一気に聞いてきた。

「いえ・・・恐らくご主人が毛利さんの希望を無視した方向に進む危険を感じたからだったと思います。こういう事は、沢山あります・・・被害者にとってはたまらないことでしょうが・・・」

「確かに主人は・・・小暮さん達の相談を、なにを言っているんだ、バカバカしいと・・・呆れていました・・・そうですね、私が何を言っても聞き入れませんでしたから・・・・そのせいですね。」

近藤さんは誰に話すともなく独り言のように呟いた。

「そんなに自分たちを責めない事です。我々の誰がなっても不思議ではありませんでしたから・・・」
小暮さんのご主人がそう言って、みんなも頷いた。
「ところで・・・事故現場の方にはいつ行かれますか?」
道橋さんが肝心な事を聞いてきた。
                続く

Posted by kiyoman 10:46:29Comments(0)TrackBack(0)

乗り捨てられた放置自動車 22

2008-02-29

改めて車の横に回り、フロントガラスの窪みの部分に手をかざした・・・

毛利さんの残された意識に焦点を合わせる

見つけた・・・先ほど話した毛利さんではなく、ここに残った恐怖の記憶でフリーズしてしまった魂の鎖・・・

これを解かなければいけない。
この鎖が、この車に毛利さんを閉じ込めてしまったのだ。

私はその鎖に向かって念気(ねんき)を絞り込んだ・・・

{ブチン! ガチャリ・・・}
そんな音が聞こえてきそうな感触・・・

私の眉間に 深く刻まれた皺に 額からツーッと汗が流れ落ちた。

その瞬間だった・・・気がつかなかったが急に薄暗くなっていたその空から、一気に大粒の雨が降りかかった。

「うわーっ!すごい雨だ・・・」
「きゃ!このタイミングでの雨は?」

そう言ったきりで、誰もその場を動く事は出来なかった・・・
「さあ 毛利さん・・・貴方は動けるようになったはずです。事故現場に帰ってください。必ず私が 3日以内に現場に向かいますから・・・」
そう言って自由になった毛利さんに向かって笑った。

「ありがとうございます・・・これで帰れる・・・あの場所に・・・あの場所でもここよりは近い・・・家族の近くへ帰れる・・・お待ちしています。助けてください・・・みなさん・・・本当にすみませんでした・・・」

毛利さんはその瞬間消えた・・・その気がこの車から消えたと言う意味で・・・

「さあ・・・急いで帰りましょう。みんな風邪を引いてしまいますから」
私は笑ってみんなに言った。
みんなは呆気に取られながら、やっと動けるようになったように頷いた。

そこから50mも歩いただろうか・・・通り雨だったのだろう。
その豪雨は 止んだ・・・
                 続く

Posted by kiyoman 00:15:55Comments(2)TrackBack(0)

乗り捨てられた放置自動車 21

2008-02-27

「私は・・・ただあそこに帰りたかっただけなんです。こんな所に居たくない。死んだのなら受け入れる・・・家族が待っている処へ・・・帰りたい・・・」

そう言って黙り込んだ・・・

「じゃあ、約束は守ってもらえますね?私が貴方の魂をこの車から解放します。そして事故現場に行って魂を浄化させます。そうしたら貴方はこの人たちには危害は加えない・・・それでいいですね?」

「き・危害か・・・そう思われていても仕方のない事か・・・実際 俺は一人に危害を加えた訳だから・・・いつのまにか自分の事ばかり考えて・・・人に危害を・・・あの私を轢いた奴と同じになってしまっていたんだな・・・申し訳ない・・・本当に申し訳ない・・・情けない・・・」


「私はその危害を加えられた者の妻です。でも・・・怒ってはいません・・・だから心配しないで・・・」

近藤さんの奥さんが鼻をすすりながらそう言った。

「そうおっしゃっていますよ・・・。ちなみに貴方のお名前と事故現場を教えてください。じかにお宅の住所を聞けば早いのかも知れませんが・・・」

「井口先生・・・そうですよ。住所を聞いて家族の方に知らせましょうよ。我々で・・・」

小暮さんがそう言ってきたが、私は静かに答えた。
「もし・・・私たちが家族に伝えに行くとして・・・どうやって?話の切っ掛けは?
まだ未解決事件なんですよ、この事故は・・・そこに我々が被害者にここの住所を聞きましたじゃ・・・家族や警察はどう思いますか?まだ日本では認められていない霊能力者の言葉を聞くどころか・・・いつの間にか犯人として疑われてしまうのが現実です。だから・・・だから彼には申し訳ないが、そこまで携われない・・・悲しい現実です。」

私の言葉を弱気な発言と捉えられるかも知れないが、リスクは冒せなかった。
国家権力に立ち向かうだけの強さは持ち合わせていない・・・今の私には。

「そうですね・・・無理はしなくても良いです。私は帰れれば・・・名前は毛利利治(仮名)と申します。○○県○○市○○です。自宅はそこからすぐです・・・」

「分りました、毛利さん。私の出来る事は全力でやります。そしてその後・・・そこの現場に行きます。待っててくださいね。それでは・・・」
                 続く

Posted by kiyoman 00:42:38Comments(0)TrackBack(0)

乗り捨てられた放置自動車 20

2008-02-26

車に向かって左手のガラス片を差し出した。
そしてその手の中のガラス片を車のボンネットの上にそっと置いた・・・

静かに印を結ぶ・・・・・・・・・・・

今度は右手をボンネットの上に置いた。

車の記憶と、そこに残る苦悩の記憶にシンクロする。
見つけた・・・チューニングOK。

「貴方はこ車を知っていますね?」
私はそっと少ない記憶に向かって話しかけた・・・
「そうです・・・この車の奴は・・・奴は許せない。」

「貴方はどこでこの車に?貴方はまだそこにそのまま居るのではないですか?」

「そうです・・・こんな遠い所に来てしまった・・・心と体がバラバラだ・・・」

「いえ・・・残念ながら体の方はもうすでに・・・荼毘に臥されてしまっているでしょう。」
「知っている・・・さすがにこの孤独を味わったのだからそのくらい・・・でも帰りたい・・・あの場所に・・・」

「そこの導いて下さい。場所を教えていただきたいのです。私が連れて行きましょう。」

「本当に?本当に帰してくれるのですか?」

「はい・・・この私が。その代り条件があります。」
「この人たちの事だろう?迷惑を掛けた・・・分っている。でもあの子供たちが可愛くてな・・・私の孫と同じくらいの歳だったので・・・つい」

「じゃあ初めから子供達に危害は加えるつもりは無かったのですね?」

その言葉に一同の親御さんは顔を見合せて、そして車に向かって・・・見えない被害者に向かって手を合わせた。

* ここでの被害者の声は、私の通訳で伝えていました。
               続く

Posted by kiyoman 00:20:08Comments(0)TrackBack(0)

乗り捨てられた放置自動車 19

2008-02-24

「みなさん・・・これから私がする事は、申し訳ありませんが事件解決の為ではありませんし、助けにもならないと思います。ただ皆さんもご推察のとおり、この車によって悲劇がおこり、そして被害者が出ているようです。私はこの被害者の声を・・・いえ気持ちを聞きます。そして気持ちを鎮めてあげようと思います。
そうすれば皆さんに願った被害者とのは切れると思います。あとは念のために警察にみなさんから届けてください。いいですか?」

「はい・・・私たちに期待された仕事は、やりと退けてあげられるのですね?」

小暮さんが言った。

「そう思います。」
「お願いします・・・聞いてあげてください・・・可哀そうですから・・・本当にこんな事があるなんて信じられません。」

「誰かに見つけてもらいたかったのですね?誰かに知ってほしかったんですね?悔しかっただろうに・・・」
近藤さんの奥さんが涙ぐみながら言った。

「そうだと思います。見つけて欲しかった・・・その気持ちが強く伝わります。」

「改めて お願いします。被害者の鎮魂を・・・」
道橋さんがみんなを見回した後にそう言った。

「分りました・・・井口 頑張ります!」

私は笑みを浮かべながら車に向きなおった・・・車の前方部分に立つ。

               続く

Posted by kiyoman 19:18:38Comments(0)TrackBack(0)

乗り捨てられた放置自動車 18

2008-02-23

後ろへ下がった私は、握りしめた左手をそっと開いた。

さて・・・これからだな。
私は改めて車の前方に出た。

その時一人だけついてきた。

確か車関係の仕事をしているご主人だった。

そのご主人は、他の人と違い、車のボンネットの先の方を念入りに見ていた。

「やっぱりだ・・・ここに擦過傷があります。見てください・・・」

私は指を指された場所に目を向けた。
そこには何かを強く擦ったような跡が、確かについていた。

「そしてこの辺りの凹み・・・これは明らかに・・・・事故車です。仕事柄何度か見た事がありますから・・・」

言われてみたら確かに凹みが確認できた。それに風雨にさらされてしまっていたとは言え、傷部分には、グレーの色が付いていた・・・おそらく・・・衣類の色がついたのだろう・・・その位置から顔を上げた先には、凹みのあるフロントガラスが私を見降ろしていた。

「うーん・・・さすがは車のプロですね」

「いえ・・・私が分るのは、この車がどういう経緯の車かと言う事だけです・・・井口さんのように、この先は分りませんから・・・解決には繋がらないですよ。井口さん・・・どうかこの先はお願いします」

その話を皆が聞いていた・・・そして同時に頭を下げた・・・

みんながこの車の経緯を察したのだろう。
そして恐怖が改めてこみ上げて来たのだろう・・・
               続く

Posted by kiyoman 00:25:03Comments(1)TrackBack(0)

乗り捨てられた放置自動車 17

2008-02-22

それでも私の後ろから離れずに付いてくる一団
及び腰が少し可笑しい・・・
しかし この場合は笑ったらいけない。

車に到着した・・・

ナンバーは前も後ろも取り外されて無かった。

そして前に回った私は、そのフロントガラスに目が吸い寄せられた・・・

場所は助手席の方の真ん中より少し上・・・
クモの巣状にひび割れた真ん中に、ちょうど頭くらいのへこみがくっきり浮かんでいる。

車はまだ古くない・・・

白の某メーカーの 2000ccの乗用車である。

私は助手席に回った。
中は多少暗いので、よく見えないが助手席のダッシュボードの上を見る。

私はポケットからハンカチを出して、ドアノブをそっと掴みドアを開けた・・・

「先生・・・大丈夫ですか?」

小暮さんが聞いてきた。
いつの間にかみなさんは車をぐるぐる回って見ていた。

もちろん問題のフロントガラスも、顔をしかめながら見ている。

「大丈夫です・・・まだこの段階で警察に通報しても仕方ないですから、もう少し確認しましょう。指紋も気をつけていますから・・・」

「指紋・・・そこまで考えていたんですか?冷静だな・・・さすがだ・・・」

「犯人扱いが面倒ですからね。さあ 見てください。外からでは雨で流されてしまって、赤い・・・そう血ですかね・・・確認出来なかったので、中から見てみましょう。」

この段階でもガラス片(子供達の宝物)は私の左手の中に握られている。

「見てください・・・おそらく子供たちか・・・放置した人間がドアの開け閉めの時の振動で、ひび割れたガラス片が落ちたのでしょう・・・何片か赤いガラス片が落ちています。」

「本当だ・・・極 薄くだけど・・・ピンク色だ・・・恐怖のピンクですね」

みんなも覗き込むように寄って来たので、私は後ろに下がった。
                 続く

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乗り捨てられた放置自動車 16

2008-02-21

左の路を選んだ我々は進んだ・・・

そこは思ったよりも奥へ行けばいくほど草の丈が高くなってきた。

それも現実の距離よりも、ずっと長く歩いているような錯覚を起こさせる感覚。

「周りには何にも無いですね・・・こんな所があるなんて・・・知らなかった」

みなさんは怯えながらも辺りをよく見回しながら歩いていた。

急に止まった私に、一同はびっくりした。

「先生!」
「あそこですね・・・このガラス片の本体は・・・」

そこはちょうど歩いてきた路を、ちょこっと右に曲がった小さな広場のような空き地だった。

「あった!有りました・・・」

みんなは騒いだがそれ以上近くには寄らなかった。

「私だけが行ってもしょうがないから、誰かついてきて下さい・・・」
私は車に意識を向けたまま、希望者を募った・・・
しかし 誰からも声が上がらなかった・・

「仕方ない・・・それじゃあ・・・近藤さんの奥さんと小暮さんのご主人・・・ついてきてくれますか?」

「先生・・・怖いです、わたし・・・」
近藤さんの奥さんが後ずさった・・・

「近藤家が今の時点では、一番被害をうけていますので、お願いしたいんですが」

「先生・・・みんなで行きましょう!その方がいいですよ やっぱり」

道橋さんが近藤さんの気持ちを汲んで提案した。
一同は深くうなずいた・・・

「仕方がないですね・・・みなさんの覚悟を理解しました。」

はじめから全員で行くことを勧めるべきだったかな?と思ったが・・・

結果オーライ・・・かな?笑
                 続く

Posted by kiyoman 00:48:42Comments(0)TrackBack(0)

乗り捨てられた放置自動車 15

2008-02-20

「いえ・・・スクラップにはなっていません。まだ記憶が途切れてはいませんから」

「そうですか・・・良かった・・・のですよね?」
道橋さんが何だかよく分からなくなったように返答を返してきた。

「そうそう・・・良かったんですよ。さあ行きましょう・・・ついてきて下さい」

スクラップ工場があるような場所は、そこから発する音や匂いなどのせいで、民家などが無い場所にあるものなのです。そして・・・

しばらくいくと二股に分かれた道に出くわした。
「右に行くとスクラップ置き場ですね」

小暮さんが指さして言った。

「そうですね・・・でも私が行きたいのはこの左側の道です。」

「こっちは狭い道ですから・・・車は?」

「私は目で見ていませんから、細くても広くても関係ありません。それに細いと言っても崖とかではないのですから、車は十分通れます。常識はこう言う時 邪魔になるだけです」

「すみません・・・そうですよね。井口さんはそう言う常識外の部分を感じて生きて来たのですものね。私の時も・・・」

「私も常識はありますよ」笑
「そう言う意味では・・・これは失礼しました」

「まあいいですよ・・・さあ 行きましょう。この左の路を・・・」
                続く

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乗り捨てられた放置自動車 14

2008-02-19

死者が呼んでいる・・・・
大変分りにくい表現ですね・・・

サイコメトリー。
今はこのガラス片しか手元になかったから、このガラス片の記憶をさかのぼった。

そこから伝わる情報は「恐怖」「苦痛」
「怨嗟」「見つけて」だった・・・

これだけでこのガラス片の元・・・その車本体がなぜ捨てられていたかの理由になる。

しかしそこまで詳しく、この4家族に伝える事は、今の段階ではひかえた。
事件性がある場合には、軽はずみには発言できないし、別の意味でショックを与えてしまうから・・・

もちろんみんなもうすうす感じている事かも知れないが、私の口からは言えないから
「死者が呼んでいる」と言う表現になったのです。

ちょうど小学校の裏門辺りに差し掛かった。

私は再度強く呼ばれる方向を探した。

ガラス片が、車本体に戻ろうとする不思議な力を感じた。

「こちらの方向には何がありますか?」
ある方向を指差して言った。

「そちらには・・・スクラップ置き場っていうか・・・工場ですね、あるとしたら」

「そうだ!スクラップ工場だ・・・」

「でも子供達には危ないから近くに言っちゃ駄目だと言ってある場所ですよね?」

「うん・・・学校でも言われている場所ですよ・・・まさか・・・」

道橋さんが言ってきた。
「井口さん・・・その車はスクラップになってしまったなんて事はないですよね?」
                続く  

Posted by kiyoman 23:53:29Comments(0)TrackBack(0)

乗り捨てられた放置自動車 13

2008-02-18

「井口さん・・・どうすれば?我々はどうしたらいいのでしょう?」

小暮さんの奥さんがすがるように聞いてきた。

「井口さん・・・一緒に車を探しに行ってくださいませんか?我々ももう一度掛けてみたいのです・・・」

道橋さんがみんなの気持ちを代弁して聞いてきた。

「そうですね・・・このガラス片に掛けてみますか・・・」

私はガラス片に残るかすかな残留思念を探した・・・

「それでは行きましょうか。」
私はそう言って唐突に立ち上がった。

「は・はい!」

一同は外に出た・・・
「井口さん、こちらの車に・・・」
そこには大きめなBOXカーが止まっていた。

「いえ・・・歩いて行きましょう。それほど遠くないはずです。」

「えっ?そう言われても・・・田舎とはいえここらには深い草むらなんか無いですが・・・」

「いえ・・・小学校の方向に行きましょう。どちらですか?」

「小学校?子供たちが通っている小学校ですか?」

「そうです。その少し先に感じます。」
「あの辺に草むらなんか・・・無いよな」
「ええ・・・確かに・・・」
みんなが戸惑いながら話し合っていた。

「私は必要ありませんか?」
私は少しイラッとして冷たく言った。

「あっ!すみません・・・分りました。行きましょう。こちらです。」

慌てて案内し始めた。

少し歩くと小学校が見えてきた。

「このガラス片が語ります・・・早く見つけて欲しいと・・・・」

「見つけて欲しいと?そうすると車はあるのですか?まだ・・・」

「その筈です・・・死者が呼んでいます」

「・・・・・・・・・・・・・・」
流石に私の最後の言葉に、一同は凍りついたようだ。

「さあ 急ぎましょう。こちらです」
               続く

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乗り捨てられた放置自動車 12

2008-02-16

手の平を広げた私は、少し額に汗をかいていた。

「確かにこれはく馬のフロントガラスのようですね・・・それも・・・男性の苦痛の顔が浮かび上がった・・・みなさんは探索をされたのですよね?」

私は一同の顔を見回した。

「はい・・・それが、子供達の話を聞き、その場所へ向かったのですが・・・」

「向かったのですがと言いますと?その帰りに近藤さんが事故にあわれたとお聞きしましたが・・・」

「はい。帰りは帰りなんですが・・・実は発見できなかったんですよ・・・」
小暮さんが申し訳なさそうに言った。

「道橋さん?どういう事ですか?」

「私から説明しましょう。子供達がみな言った場所には行ったはずなのですが、なにぶん夜だったもので・・・人気のない雑木林と言う話だったもので、心あたりを全部見たのですが見つからなかったのです。」

「子供達の情報は、雑木林だけなのですか?」

「いえ・・・公園が近くにあって・・・」

「ここからどのくらいの所を探しました?」

「車で10分ほどの所を・・・」

「うーん・・・子供の行動範囲の中のはずなんですがね・・・あれから1週間ちょっとだから・・・回収されたか?」

「井口さん・・・お願いです。一緒にもう一度探していただけませんか?近藤さんに起きた事を考えると・・・安心して眠れません。子供たちにももしこれ以上何か起きたらと思うと・・・」

「そうですね・・・このまま原因の車が回収されて、廃車になってしまったら・・・終りが来ませんから・・・私が心配していたタイムラグはこの事だったのですから・・・」
                続く

Posted by kiyoman 02:55:57Comments(0)TrackBack(0)

乗り捨てられた放置自動車 11

2008-02-15

リビングに通された私は、部屋の中を見回した。

何かを感じるかどうかを確認したのだ。
しかし・・・・何も感じない。

ソファーに腰を下ろし、コーヒーを出されて、みんなが席に着いた。

「近藤さんの奥さまは居ますか?」
まだ自己紹介がされる前に 聞いてしまった。
少しせっかちだったかも知れないが、少し急ぐ必要があった。

「はい。近藤です・・・」
「近藤さん・・・ご主人の容体は?何か言ってますか?」

「それが・・・MRIを撮ってもらったのですが、特別何も問題個所はないとの事でした。不幸中の幸いです。ただ・・・」

「ただ?」
「はい・・・何ともないはずなのに、主人は頭が痛い痛いと・・・ずっと頭を抱えたままなのです。お医者様も困ってしまっているようで・・・」

「頭が痛いと・・・中は何ともなしか」

「井口さん・・・みなさんの紹介をさせていただいてよろしいでしょうか?」
道橋さんが言った。

「あっ!これは失礼しました。先に確認しておきたかったので・・・すみません」

「はじめまして・・・横山と申します」

「はじめまして・・・佐々木です。」

「砂田と申します。先生・・・助けてください。」

「小暮です・・・この度は遠い所をわざわざありがとうございます。」

「みなさんこんにちは。 井口清満と申します。話はある程度 道橋さんから聞いています。そうだ!ガラス片をお持ちになりましたか?」

「はい・・・ここに。」

そこには小さな・・・子供達の宝物の、例のガラス片が乗った白いハンカチがあった

3つは透明な、1つだけ少しピンク色したガラス片だった。

私はそのガラス片を、手のひらに乗せてみた・・・そしてそれを軽く握りしめる。

浮かび上がる乱れた画像・・・
恐怖の感情・・・・
眉間にシワを寄せながら握りこむ私を、緊張の人たちが覗き込む。
               続く

Posted by kiyoman 00:51:40Comments(0)TrackBack(0)

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言霊の伝言師

言霊の伝言師
名前 井口 清満
性別
自己紹介 霊関係の仕事に携わっていますが、中身はいたって普通の人間です。
どちらかというと、明るくてポジティブな人間です。
皆さんの期待しているような格好をしていませんし・・・笑
趣味 映画鑑賞
出身地 東京都
居住地 東京都
好きな
食べ物
バナナ・あんみつ・お肉系・・・
ピーマンは大っ嫌いです!!
最近のマイブーム:もりそば・・・

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