地蔵盆。
今年も恒例の千巻行を行います。
そんな住職の声に苦笑いをして背を向ける信者さん達。
千巻行=般若心経千巻÷読み人=幾巻
端的にいえば…
十人でひとり百巻
二十人で五十巻…
となる修行である。
今年はどんなメンバーがやってくるんだろうと?
最悪は住職とふたりだったら、朝から読みましょう。
…と話をする中、ひとりふたりと入ってくる参加の連絡に
『良かったね…良かったね…ありがたいね…ありがたいね…』
…と仏に御霊に向かう住職の姿に優しさをみる。
お地蔵様の周りは花と折り鶴で飾られ、お墓の周りは和紙を巻いた蝋燭がならびたつ。
門に向かってお堤燈の道が続いていく。
毎年、少しづつ蝋燭と器を買い足しながら、いつか京都嵯峨野の念仏寺のように、優しい灯火のなかで御霊さん達と時を過ごせたらと、想いに浸る。
寺の西側にある無縁仏に手を合わせながら、お寺を護り貫いた御霊に感謝を捧げる。そしてこの世の新しい未来を造って逝かれた英霊に敬意を捧げ、先祖に、すべての御霊に、哀悼をこめて…
始まりの時間と共に…
みんな顔が…
変わっていく。
真剣な人の表情は美しい。
ここに仏あり。
般若心経が心に時に沁みていく…
仏さまが優しく微笑む…
子供達の相手をしながら、九百九十巻のお経に向かう人達の想いを心に刻む。
子供達よ。
当たり前なんて何もない。
だから何に向かうかを自分で決めて選べる人になって欲しい。
目に見えない優しさもあるという事を心に刻んで欲しい。
この千巻のお経の優しさを覚えておいて欲しい。
この世に無駄なことなどないということを…