「大切にしていた櫛を失くしてしまったみたい・・・」と、残念そうな娘。
それは娘が幼稚園頃、 「長い髪を綺麗に保つよう」 と
祖母から貰った和風の綺麗な櫛でした。
娘は大喜びで、以来ずっと、出かける際にもバッグに入れて
携帯していました。
櫛は魔除け厄除けの呪物とも考えられ、女性にとっては昔から
お守りのように大切なものとされて来ましたが、同時に櫛は「苦死」とひっかけて
落とすと苦が消える、厄落としになるとも考えられました。
ですから逆に、落ちている櫛を拾うというのは、他人の祓った
苦死(厄)を拾うことになるので良くないとも言われます。
(どうしても拾いたい場合は一度櫛を踏んでから拾うと厄を
祓う行為になるとも言われています)
「きっと、おばあちゃんが 『苦が消えますように』って
厄払いの意味で落とすよう計らってくれたのかもね。」
と、慰めると、娘の曇った顔も少し楽になった様子。
また、その昔、既婚女性は髪に櫛を差すのが習わしだったようですが
その櫛をわざと投げ捨てることは、夫婦の縁切りの呪いとされていたそう。
今でいう結婚指輪のような、とても大切なものだったのですね。
そういった深い念のこもった櫛を拾ってはいけないとはいえ、
今時櫛が落ちていても敢えて拾う人も少ないでしょうけど、
昔は象牙や鼈甲などの高価な美術工芸品を持つ女性が多かったので
拾いたくなってしまう気持ちも納得できますね。
ショートヘアな私にはあまり関係のない話というのがちょと、
さびしくもあります。(哀)



















































