占い師になりたいというご相談について。

リストラに遭って...や、パートの面接に落ち続けているので、自宅で電話とパソコンさえあればできる電話占い師の仕事をしてみたいがどうすればいいか、との相談をここ数年よく受けるようになりました。

どうすればいいかは自分でHPを作るなり、プロに作ってもらうなりをして、大手占いサイトや女性向け雑誌に広告を載せる、ということになりますが、占術によっては知識なしには無理なのでタロットなり占星術なりの勉強をしなくてはなりませんし、最初はお客様への対応の知識や話術というものもないはずなので、どこかの占い会社に所属して半年なり一年なりはそこで実践を積み重ねてからフリーになるという流れになるでしょう。

私がこの仕事でフリーになったのはもう20年ほど前で、当時は占い師よりご依頼者様の方が多い時代でした。お客様は手紙鑑定の結果を受け取るまでに1ヶ月待ちというのはザラでしたし、女性誌の小さな広告枠のみでもそれなりにお客様は途切れなかったものです。

今はと言いますと、今から始めるなら既に占い師の数とご依頼者様の数が逆転しており、固定客をつかむまでは占い一本で生活をしようとするのはお勧めしません。お小遣い程度に考えたほうがよろしいでしょう。

誰でも「占い師です」と名乗れば、電話とパソコンさえあればすぐ開始できる分野ですので、毎年新しい占い師さんは増えていっておりますが、一年後にいなくなっしまう方がほとんどです。楽に稼げる仕事と思っていたら理想と現実との差に唖然とするわけです。また、お客様のお悩みをずっと聞いているうちに、占い師自身が滅入ってしまい、心身を病んで辞めていかれる方も後を絶ちません。

私が長くこの業界にいられるのは、長年支えて下さる固定のお客様あっての事です。口コミで新規のお客様を紹介して頂くことも多いです。新規のお客様のみですぐに生活ができる、などとは思わない方が良い「氷河期」だと腹をくくった上で、それでも何らかの志があって業界に飛び込むのであれば頑張れると思います。

主婦が片手間に占い師、と思っていると案外お客様はつきませんので、年齢で面接に落とされるといっても諦めずにパートを見つけた方が生活は安定するのではないでしょうか。

この仕事は他人の人生に関わるので、他人の業も背負います。業を背負いきれなくなって、じわじわと肉体も心も壊れていく占い師が多いので精神面が不安定な方は占い師には向いていません。邪気に飲まれて自分の方が病気になってしまいます。

当方は、電話鑑定がメインではないので、対面鑑定が最も多いのですが、もし今から占い師になりたいというのであれば、お客様と顔を合わせる対面鑑定も視野に入れると電話鑑定のみよりはリピーターさんを増やしていけるのではないでしょうか。やはり顔を合わせることでお客様も心を開きやすくなり、電話だと相談しにくいお話もすんなりできるようですから。

にしても今からこの業界に飛び込むのでしたら、現状では占い師の飽和状態であることを知っていないと厳しいかもしれませんね。

お客様にとって良い占い師というものはほぼ「相性」で決まると言っても良いです。なので、ベテランだから良い占い師だということもなく、新人占い師であってもお客様との相性が合えば、ベテランと変わりなくお客様はリピーターになって下さるものです。そういう意味では、経験が浅くてもチャンスはある業界だとは言えるでしょう。

ベテランでよく当たるのだけどきつい口調の占い師は苦手だとか、優しいけれどダメなことを「大丈夫大丈夫」となあなあにしてしまう占い師は苦手だとか、お客様にも好みがありますので、丁寧に一人一人に対応していれば、好きだと思って下さるお客様もじきに現れるはずです。

お勧めはしないけれど、現実の厳しさを理解した上でそれでも占い師を目指して頑張ろうという方は心から応援したいと思います。