遅ればせながら録画しておいた映画「イミテーション・ゲーム」を見ました。
ご存じの方も多いと思いますが、天才数学者アラン・チューリングによる世界最強と言われたドイツの暗号「エニグマ」の解読の話を中心とした映画です。
映画自体非常に面白く、チューリングという人間も興味深いのですが(恐らくアスペルガー症候群)、私が特に興味を引かれたのは、エニグマを解読した時の英国情報部の決断です。
英国情報部は、ある輸送船団が攻撃の対象になっていたことを察知し、十分な時間もあるのに知らせず、見殺しにしました。
下手に対応すると「解読したこと」がドイツ軍に悟られてしまうから。
その後もどの情報を英国軍や連合軍に伝え、どの情報を伝えないかを決めることで、言ってみれば死ぬ人の選別を行います。
非情そのものですが、現実はこんなものでしょうね。
映画、特にアメリカ映画だとこうはなりません。
たとえば、解読チームのメンバーの1人の兄が乗っていた船も見殺しにされるんですが、普通のドラマや映画だと数十万、数百万の命と引き換えにしてでも家族を救おうとする話ばかりです(最終的には全員助かる)。
それはいいとして、このエニグマ解読のおかげで英国および連合軍はドイツに勝利を納めたにも関わらず、チューリングとそのチームには一切の栄誉も与えられることなく、解読の事実さえ秘匿されます。
すべてなかったことに。
非情そのものですが、現実はこんなものでしょう。
最後に蛇足を書いておきますと、チューリングは今日のコンピュータの概念を初めて理論化した人です。
また、その名前はチューリング・テストとして現在も残っています。
これは要するに、ある機械が知的かどうか(人工知能であるかどうか)を判定するためのテストです。
1950年にすでにこんなことを考えていたのですから、本物の天才だったのでしょう。
では。
エニグマと非情の決断
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