まず、大脳が大きいほうが頭がいいとよく言います。
ヒトの大脳が類人猿の大脳よりも大きいことや、高齢者の脳が加齢に伴って萎縮すること、アルツハイマー病などの疾患では病変部が著しく萎縮することなどからも信じられているようです。
しかし脳の重さは、特にヒトでは知能の指標にはならないとされています。
夏目漱石やアルベルト・アインシュタインの脳は彼らの死後も保存されていますが、その重さを量ってみても正常の範囲を出ません。
大体、クジラやゾウは、ヒトより重い脳を持っていますからね。
それから、人間は脳の1割ほどしか有効に使っていないとの説もよく聞きます。
しかし、実はヒトの脳は約140億個の神経細胞を含みますが、それは脳の細胞の1割程度であり、残りの9割はグリア細胞と呼ばれるものなんです。
グリア細胞は神経細胞に栄養を供給したり、髄鞘を作って伝導速度を上げたりと、さまざまな働きをします。
ですから、1割しか使っていないとの説は、グリア細胞の機能がよくわかっていなかった時代に、働いている細胞は神経細胞だけという思い込みから広まったものでしょう。
最近では脳の大部分は有効的に活用されており、脳の一部分が破損など何らかの機能的障害となる要因が発生した場合にあまり使われてない部分は代替的または補助的に活用されている可能性があると考えられています。
それから、脳にシワが多いほど知能が高いというのも正確ではありません。
たしかに、人間の頭の大きさは限られているので、少しでも脳の表面積を大きくするために、シワがあることは間違いありません。
しかし、イルカとヒトを比較すると、イルカの方がシワが多いんですね。
もちろん、脳についてはまだまだ解明されていないことが沢山ありますから、今後どのように発見がされるかわかりませんが、少なくとも上に書いたことは一種の迷信と言ってもいいでしょう。
では。
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