私はスケートにはまったく興味がありませんし、彼女のことも顔を知っている程度で好きでも嫌いでもありませんが、彼女についてのエピソードで気になったことがあります。
彼女は母親に対する感謝の気持を何度に口にしています。
結構なことですね。
しかし、彼女の母親は学校の教師に彼女の出席日数が不足していると指摘された時に、「それなら学校を止めさせます。彼女にはスケートがあるから」と言ったそうですが、これはどうでしょう。
一般的にこの話は美談のように扱われているようですが、私はおかしいと思います。
世間には、同じような境遇で彼女のような成功を収められなかった人のほうがずっと多いはずです。
スケートに限りません。
幼少時からの絶え間ない厳しい訓練が必要なスポーツや芸術なんかでもそうです。
トップになれるのはほんの一握りで後は振るい落とされます。
そして、その時に、学校に行かなかったことが重くのしかかるかも知れません。
それから、この話に絡めて、最近良く見る大衆芝居の女形役者が子供の時に重病にかかった時の話をしていました。
なんでも彼の母親は医者から命の危険があると言われたのに、「お客様が大事だから、舞台を休ませない」と答えたそうです。
これも美談のように話していましたが、とんでもない。
子供を舞台に出すには厳しい制限があるのに、死にそうなのに休ませないなんて、完全な児童虐待です。
助かったから良かったものの、死んだら大事件になったでしょう。
こういう親を法律で取り締まることはできないかも知れませんが、少なくとも美談あつかいでもてはやすのは止めた方がいいでしょう。
ついでに書いておくと、フィギアスケーターの姉は、母親に彼女の邪魔をしないようにと言われ、後は無視されて大きな心の傷が残ったそうです。
成功の裏には、こうした犠牲が累々と残っているんですね。
では。
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