取調べの通訳(続き)

20170518064924-1c396b224a4f5b2755cba9f2e15e9f516ed93b6f.jpg続きです。

仮に取調べに通訳が付いたとしても、安心とは言えません。

たとえば、一部では有名なメルボルン事件と呼ばれる事例があります。

以下に概略を紹介します。

オーストラリアで麻薬を密輸したとして日本人観光客5名が逮捕されました。

彼らはメルボルンに向かう途中に経由したクアラルンプール(マレーシア)で、持参のスーツケースが盗まれたため、ガイドから代用品として別の新しいスーツケースを貸してもらったんですね。

そのスーツケースに二重底の細工がされており、その中にヘロインが隠されていたわけです。

彼らは一貫して犯行を否認、連邦最高裁まで争ったのですが、懲役15年から20年の刑が確定しました。

この時、逮捕・捜査から公判にいたるまで優秀な通訳が立ち会わなかったために、発言の意図が正しく伝わらず十分な主張ができなかったと指摘されています。

この時の通訳はオーストラリア人だったとのことですが、料金の安い、ひょっとすると素人だったのかも知れません。

この事件が発覚した当時、日本の外務省は「相手国に対して内政干渉になるので事態を見守るしかない」とし、救済措置を講じなかったとのことです。

やはり外務省は頼りになりませんね。

それはいいとして、こんな例があるんですから、最初に書いた聴覚障害者の日本人女性の例はそれほど酷いとは言えないということです。

もちろん、本人にとっては大変だったとは思いますが。

では。