翻訳の言葉

20170731072129-8cef32421e8d3c31b777f1c95b3597151a0368da.jpg今日は翻訳に関わるお話を少々。

翻訳をしていて、demande raisonnableといった言葉が出てきました。

英語にするとreasonable requestまたはdemandかな。

英語は強くないので間違っていたら失礼。

ご存知のようにreasonableには道理をわきまえたとか、適切な等の意味がありますが、ここでは、コンテキストに応じて、「妥当な申し入れ」と訳しました。

それはいいとして、最近日本では、reasonableは安いと言う意味で使われることが多いみたいですね。

これはフランスでも同じで、prix raisonnableなどと言います。

要するに「安い」と云うと客がケチのような印象を与えるから、こうした言い回しと使うようになったのでしょう。

昔は「お買い得」とか「お求め易い」などと言っていました(今でも言いますが)。

ことほど左様に言葉は変化していくのですが、翻訳をしていると新しい表現をどの程度使えるかといった問題に悩まされることが結構あります。

最近で言うと「コンセッション」(concession)と言う言葉があります。

シネマコンプレックス等の中に入っているハンバーガー屋やカフェのことを指すのですが、昔は使わなかったのではないでしょうか。

この言葉はフランス語にもそのままあって、意味も同じなのですが、訳すのに苦労したことを覚えています。

辞書に書いてある「営業権」「施業権設定」では、普通の人は何のことかわかりません。

「場内売り場」もあり、これはわかり易いもののコンテキストによっては使えません。

「コンセッション」とカタカナで書いて済むのならばこんな楽なことはありませんが、私はこれを翻訳者の禁じ手だと考えています。

少なくともそのカタカナ語が市民権を持つまでは使わないほうがいいのではないかと(「コンセッション」に関しては微妙なところです)。

時々、こうしたカタカナ語で溢れた翻訳文を見ることがありますが、羨ましいと言うか、なんと言うか、いずれにしても私にはとても真似ができません※。

※本当は、これは奇麗事で、実際には適当な訳語がどうしても見つからない時には、カタカナ語で逃げることもあります。

では。