本を読んでいると、素晴らしい友情、自己犠牲の例として、「泣いた赤鬼」(浜田廣介著)の話が取り上げられていました。

有名ですからほとんどの人がストーリーを知っていると思います(知らない人は調べてくださいね)。

しかし、本当にそんなに感心するような話なのでしょうか。

いつもながらへそ曲がりで申し訳ありませんが、私は、赤鬼は間違っていると思います。

人間と仲良くなりたいと考えるのは自由ですが、自分が異種(人間から見て)であることがわかってない。

もちろん、異種間(異人種間)の交流を願うのは悪いことではありません。

ただ、これは非常に難しい。

青鬼の作戦が功を奏し、赤鬼は人間に受け入れられたように見えますが、残念ながら、そう簡単には行かない。

そんなものは人々の心が平穏な時だけです。何か起きれば(特に子供の行方不明)、赤鬼はまっ先に疑われるでしょう。

下手をすれば、災害の時なんかに、スケープゴートに仕立て上げられるかも知れません。

結局、赤鬼は自分が本当には人間社会に溶け込んでいなかったことを思い知らされるんですね。

現実に、そんな例は山ほどあります。

その時、赤鬼は、彼を本当に理解し、支えてくれた、何より同種であり、もっとも大切にすべき友人である青鬼を捨ててしまったことを心から後悔することになるでしょう。

無いものねだりの高望みで、すべてを失ってしまう。よくあることです。

ひねくれものエリオンのせっかくの良い話が台無しシリーズでした(他に、「走れメロス」、「蜘蛛の糸」等があります)。

では。