医学の進歩と医療過誤(2)

昨日の文章の最後の部分がやや舌足らずだったと思いますので、補足しておきます。

私は、不運にも手術が失敗に終わった人にそれを甘んじて受け、何もするなと言っているわけではありません。

当然それなりの対応が必要でしょう。

しかし、裁判を起こして過大な賠償を要求すると医療自体のあり方を危うくする可能性があるということです。

少し前のことですが、福島県立大野病院産科医逮捕事件(これは刑事事件ですが)が話題になりました。

簡単に説明します。

2004年12月17日に福島県立大野病院で帝王切開手術を受けた産婦が死亡し、手術を執刀した同院産婦人科の医師1人が業務上過失致死と医師法違反の容疑で逮捕、翌月に起訴されました(裁判の結果は無罪)。

この医師逮捕に対して、日本産科婦人科学会・日本産婦人科医会は「事件は産婦人科医不足という医療体制の問題に根ざしている。医師個人の責任を追及するのはそぐわない」とのコメントを出しています。

また、日本母性保護産婦人科医会も「この様に稀で救命する可能性の低い事例で医師を逮捕するのは、産科医療、ことに、地域における産科医療を崩壊させかねない」と批判しました。

実は、この事件はメディアによって無理やり大きな騒ぎにされたようなところがあります。

メディアも真剣に考えるべきでしょうね。

それでなくても不足している産婦人科医になりたい医学生がさらに減ったら責任を取れるのでしょうか。

もう少し続きます。

では。