ヌーヴェル・シノワ?

最近、見たテレビ番組である中国料理店が紹介されていました。

そして、この見せは「ヌーヴェル・シノワ」の店なのだそうです。

ううむ、この「ヌーヴェル・シノワ」という言葉、テレビで時々聞きますし、雑誌なんかでも目にしますが、なんのつもりなんでしょう。

まあ、フランス語の「ヌーヴェル・キュイジーヌ」(nouvelle cuisine)から取ったということはわかります。

ちなみに「ヌーヴェル・キュイジーヌ」とは、1960年代後半から1970年代にかけて提唱された、生活様式の変化による運動量の減少、栄養過多による肥満の回避などから、バターや生クリームを減らした軽いソースや、新鮮な素材を短時間で調理するといった「新しい料理法」(日本料理の影響を受けている)のことです。

日本でも有名なボキューズやトロワグロ兄弟が代表的なシェフですね。

それで同じように油などをたっぷり使った従来の中華料理を改良した新しい調理スタイルにフランス風の名前を付けたかったのでしょう。

しかし、残念ながら、「ヌーヴェル・シノワ」(nouvelle chinois)では何のことかわからないんです。

無理に訳せば「新しい中国人」になりますが、ヌーヴェル(nouvelle)は女性形でシノワ(chinois)は男性形ですから成立しません。

大体、誰が最初に使い出したのか知りませんが、日本人がフランス語の基本的な決まりを無視して「ヌーヴェル・シノワ」などといった間違った名称を付けることは許されることではないでしょう。

勿論こうした例は「ヌーヴェル・シノワ」だけではありませんが、単に雰囲気からこうした言葉を乱造するのはもう止めた方がいいと思います。

百歩譲って(そんなに譲ったらあと何歩ものこってないだろうなあ)どうしても外国語の名称を使用したいのなら少なくとも間違った用法は避けるべきでしょう(正しくは「ヌーヴェル・キュイジーヌ・シノワーズ」(nouvelle cuisine chinoise)になります)。

では。