思い出した事...

先日、出かけた折に そういえば以前 その近くに
知り合いが住んでいたことを思い出しました。

その方は職場の同僚だったのだけれど、傷つきやすく敏感なのでしょう。
自分を守ろうとするのが強いせいか、あまり周囲とうまくいかない
傾向にありました。

でも私には警戒心持たずに心を開いて話をしてくれていましてね、
どうしても一度、家に遊びに来て欲しい!ということでお伺いしたことが
あったのです。

彼女はご主人様を亡くされていて、職務中での事故だったそうですが、
いつものように「行ってきます!」と元気に出掛けていったのに、
死んで帰ってきたと嘆いていました。

部屋にあるご夫婦の写真の彼女はとても長いロングヘアで
ニコニコしていて本当に可愛らしく幸せそう。

その時の彼女はベリーショートだったので聞いてみると
ご主人が亡くなってから髪をバッサリと切ったのだそう。

お子さんはなく、でもお二人は退屈する暇もない程、お互いを思いやり、
本当に仲良しの幸せなご夫婦だったようで、
何があるか分らないものですね、

ところが、ご主人が亡くなってしばらくしてから、
職場の方が訪ねて来て、ご主人様が職場に来る、いる、でる?
で、少し困っているという話だったとか...。

真摯に仕事をするご主人様だっただけに彼女も困ってしまい、
泣きながら毎日、お仏壇に向かって

「お願いだから、もう職場に行ってダメよ!皆、困るからね!
早く向こうに行きなさい...」と、言い続けていたのだとか。

幽霊だってなんだって、ずっと自分のそばに居てくれたらどんなにか
良いのに、男の人って職場に行ってしまう。
さみしいけれど、早く行きなさいというしか無かったと...。

事故の場合は、なかなか自分が死んだという事が分らない
ものだそうですからね、

その後は何も言われる事も無かったというので、ご主人様も
聞き入れてくれたのでしょう。

(お葬式のお坊様はお経を読みつつ、懇々と「死んだのですからね!」と
伝えているのだそうで、それも力量が必要なのだと聞いたことがあります。
神道では亡くなった方用の祝詞があり、あなたの人生には春も夏もあったよね!
うん、わかるよ!みたいな事を切々と訴えかけ理解してもらう内容だそうです)

もうお会いする事も無くなりましたが、彼女はどうしているかな、
と、思い出してしまいました。

きっと、今も亡きご主人様を胸に、人間関係をボヤキながら、
元気に働いていることでしょう^^

できれば良い人達に恵まれていますようにと、
祈らずにはいられませんでした。