運命(大人の寓話続1)

ついに、運命のすみかを知っている仙人に出会いました。

「彼の家は山の頂上だよ」仙人はいって、遠くを指さしました。

「しかし、彼に会っても向こうが話しかけるまで黙っているように。

そして彼がすることは、ことごとくまねするのだよ」

貧乏な男は仙人に礼を述べて、

運命の城へ登っていきました。

そこは壮麗な宮殿で貧乏な男が入っていくと、

運命は豪華な夕食をとっているところでした。

しばらくすると、運命がベッドに入ったので、

男はついていき床に眠ました。

夜中に騒々しい音が城を揺るがし、声がこう叫びました。

「今夜、たくさんの魂が世の中に出てきたぞ、運命。

彼らはおまえの贈り物を持っている。

運命は起き上がり、美しいたんすの

ところに行くと金や宝石を取り出し、

それを右に左に放り投げました。

「新しい魂には、今日、わたしが楽しんだだけの恵みをやろう。

彼らは一生、今のわたしのように暮すだろう!」

貧乏な男は無言のまま、すべてを見ていました。

翌日、男が目を覚ますと、美しい城は消えていました。

代わりに、ありふれた家が建ち、

運命はその夜の食事をしていましたが、

ゆうべのような豪華な食事ではありません。

それでも肉とパンは豊富にありました。(つづく)