幼児決断

幼い頃に人生の生き方を決める「幼児決断」

心理学のジャンルのひとつに「交流分析」というものがあります。
精神分析で有名なフロイトのお弟子さんで、精神科医の
エリック・バーン博士が開発した心理療法です。

バーン博士は、「私たちは子どもの頃に『こんなふうに人生
を送ろう』という脚本を書き上げる」と言っています。
その脚本(人生脚本)の元となるコンセプトを幼児決断といいます。

今回は幼児決断について分かり易くお話ししたいと思います。

私たちはまだ言葉も分からないほどの幼い頃でも、
母親の顔色や声の調子、態度などから母親の感情や
気持ちを敏感に読み取ります。
何せ赤ちゃんは母親のお腹にいるときから母親の声を聞き、
その感情や気持ちの分析をしていますから、
察知するのはとても上手なんです。

ところで、子どもにとって親の愛情を得られないことは、
「死」を意味します。幼い子どもは自分の力で生きていくこと
はできないですものね。
ですから『こんなふうに人生を送ろう』という脚本の根幹をなすのは、
親に見捨てられないようにしよう、親にいい子だと思われるようにしよう、
ということになります。

たとえば親が「遠くに行っちゃだめでしょ!」
「いたずらをしてはダメです」などというメッセージを
発すると、子どもは自由にやりたい気持ちを押えてしまいます。
そして「何もしないほうがいいんだ」という幼児決断を
する可能性があります。

そんな子どもは親の言うままに行動するので
とってもいい子です。
すると大人になっても自主的な行動ができない、
自分に自信のない大人になりがちです。

また、親が子ども可愛さのあまりあれこれ面倒を見過ぎる
と、「親が喜ぶように、なるべく手のかかるようにしよう」と
いう幼児決断をする可能性があるのです。
そんな子どもが大人になると一人立ちできず、
自分で決断ができなかったり他人を頼りにする傾向があります。

また、こんな幼児決断もあります。
風邪を引いたり病気になると親はとてもやさしくしてくれますが、
元気な時には何も構ってくれないというような場合、
子どもは「病気でいれば見捨てられないし構ってもらえる。病気でいよう」と
幼児決断する可能性があるのです。
大人になっても、周りの人に構ってもらいたかったり
優しくしてほしいと病気になりがちな傾向があります。

このように、幼い頃の決断は大人になっても私たちを縛り、
本来あるべき姿を歪ませてしまいます。
無意識のうちに幼児決断に従った行動をとってしまうのです。
ですが、幼児決断はまだ人生のイロハも分からない幼少期の決断ですから、
どうしても生きづらさを感じてしまいます。

そこで、幼児決断の修正が必要になってきます。
何か生きづらさを感じているあなた、今の自分は嫌だな~と
感じているあなた、自信がないと感じているあなた。
幼児決断を修正するチャンスです。
そろそろ過去の自分にサヨナラを言ってみませんか?


(幼い頃に人生の生き方を決める幼児決断より抜粋)