日本語の豊かさ (4)

20160522072800-609be10a56150f733847696a141b62d1ddbebdbc.jpg続きです。

それからかなり意外なのが、愛するです。

日本にも愛という言葉はありましたが、現在の意味とはかなり違いました。

余談ですが、テレビドラマが大ヒットして有名になった直江兼続の兜の飾りが大きな愛の字だというのでロマンティックに思った人が多いでしょう。

しかし、実際には軍神である「愛染明王」または「愛宕権現」から取ったと言われています。

奥さんや民への愛を表したわけではないんです。

それはいいとして、最近はどちらかとというと、英語の単語をそのまま使う傾向が強いですね。

日本語に対応する言葉があるのにあえて英語を使用している例もかなり見られます。

話を戻すと、明治時代には、文章においてもいわゆる文語体から口語体(言文一致体)への移行という大きな変化がありました。

この時は坪内逍遥や二葉亭四迷等が大変な苦労をして新しい日本語の書き方を創り出したわけです。

勿論、それには理由があります。

簡単に言えば、文語体が時代に合わなくなったと言うことですが。

今、たとえば泉鏡花の小説を読むと大変な名文です。

そのボキャブラリーの豊富さには本当に圧倒されます。

二葉亭四迷や坪内逍遥なんかも口語体といっても、文語調が残っていて、かなり美しい文章と言えるでしょう。

しかし、考えてみれば明治・大正時代の作家たちは漢文の教養を基にしているんですね。

だから見たこともないような漢字が並んでいて、驚かされるわけです。

あと少し続きます。

では。