あるお母さんの昔、昔の話です。
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京都のある寺に毎日来てはしくしく泣くお母さん
がいました。
ある時、そのお母さんに何故そんなに悲しいのか?
と尋ねてみました。
すると、そのお母さんは『私には息子が二人います。
長男は傘貼りの職人で、次男は足袋をつくる職人なんだよ。
雨が降ると足袋が売れず次男が可哀相で泣いていた。
晴れたら傘が売れずに長男が可哀相でまた泣いてしまう
のだよ。』と打ち明けてくれました。
ああ、そうなんだ。と、同情はしたのだけれども、
その人はお母さんにこう話ました。
『お母さん、それは反対だよ!雨が降れば、長男の
傘が売れてうれしいじゃないか、晴れたら次男の足
袋が売れてまたうれしいじゃないか。そうだろう。』と
その人はお母さんに言いました。
それから数日してまた、お母さんに会いに行くと、
いつものお寺で今度は《にこにこ》してる姿を見て
安心しましたとさ。
と、いう単純なお話ですが、
物は考えようで良くも
悪くも取れますよと言う昔話でした。
☆彡愛エルランカ