ラストエンペラー その4

14820.jpg*現在のエーリ門

トルコから帰国後、、、
私はあの小さな門の事が忘れられず、本屋を巡り調べ解ったのですが、あの小さな門はエーリ門と言ってコンスタンティヌス11世が死の途に向かった門だったのです。
あの門(エーリ門)を境に大きく変化した私の感覚はいったい何だったのか?

コンスタンティヌス11世の当時の心境を追体験したのか・・・

コンスタンティヌス11世は皇族として この世に“生”を受け、兄の跡を継ぎ皇帝に、
衰退しきったとは言え 古から続くローマ帝国の皇帝だ!
とてつもない重荷を背負わされ、まるで解く事の出来ない鎖に繋がれたようだ。
まして帝国の“死”を目前にして絶え間なく襲って来る不安・・・おまけに同盟国(キリスト教国)から まともに援軍さえ来ない!
それは、彼に孤独を伴う絶望感を与えただろう。

それが城壁内にいた当時の彼の心境だったのか、、、

古今東西、戦いとは敵側の大将の首をとって完全勝利というもの!
コンスタンティヌス11世が、敵側にそれを味あわせない為だけに 身分を示す服を脱ぎ捨てたとは私は思えない!

何故なら、私があの門をくぐり数十メートル進んだ時の あのすがすがしい開放感!!

まるで、コンスタンティヌス11世が緋色のマントや身分を示す服を脱ぐのと同時にローマ帝国皇帝という重荷から開放されたようだ!
あの瞬間 彼は皇帝ではなく心底願っていた一キリスト教徒の戦士として、人生最後の時間を いや数分だったかもしれない。
そのわずか数分 体の中心からほとばしる熱い情熱を 何ら妨げるものなく
魂の赴くまま “自由”と“生”を謳歌したと私は信じる・・・

=コンスタンティヌス11世殿=

私は 十数年前に一冊の本に出会い あなたの事を知りました。
あの本との出会いにより、あなたのいた時代に、コンスタンティノープルという街に、強い関心と憧れを抱きました。
そして、コンスタンティヌス11世という一人の男性に惹かれつつ、彼の一生を悲劇だと思ってました。
でも あの街を訪ねた今では そうは思いません!
あなたは悲劇なだけの人生を歩む為に“この世の生”を受けたのではなかったのですね。
49年の人生の最後の瞬間 とてつもなく輝く為にローマ帝国皇帝という重荷を背負ったのですね!
それを伝える為に 私をあの街へ呼んだのですね!
本を通し、友人を通し、そしてあのサッカー少年との出会いを通し、、、

あなたの人生最後の数分間の“威光”は、500年以上経った今でも消えてません!!

追伸 
あなたがこの世での生を終えた直後、何の悔いもなくすがすがしい気持ちで、あの方の腕の中に飛び込み どんなに安らかだったか・・・
そう、母の胎内で守られてるようなアヤソフィアでの感覚に似て。。。