いじめと本能

再び「たけしの日本教育白書2006」を見て感じたことを書きます。

番組では14人の子供たちを集めて話を聞いたのですが、うち10人がいじめたことがあると言っていました。 

特徴的なのはいじめが絶対に悪いとは言えない、いじめられる方に原因がある、だからいじめたり、仲間はずれにするのはしようがないと考えていることです。

これ横で見ていた母親たちの中には涙を流している人がいましたが、彼女はそれまで子供ときちんと話し合ったことがないんでしょうね。

一般の人々を対象にしたアンケートではいじめたことがあると答えたの人は約半数になっていました。しかし、これは少ないと思います。実際には7〜8割にはなるはずです。

どうもテレビに出ていた人たちを初め、多くの人が自分に正直ではなかったり、過去を美化しているのではないでしょうか。

大体、高校、大学や一般社会にもいじめはいくらでもあります。前にも書いたように体育会系のクラブなんか代表的な例ですし、会社なんかでもいわゆるパワーハラスメント(上司や先輩による地位を嵩にきたいじめですね)が頻繁に見られます。

また、主婦は主婦で公園デビューとかなんとか、グループに入れるの入れないので仲間はずれにしたり、グループの中でも陰湿ないじめがあるそうです(いじめられた女性がボス的存在の主婦の子供を殺した事件がありましたね)。

ところで動物にもいじめはあります。たとえばグッピーでは群れの一番弱い個体が常にいじめの対象になります。

助けようとして苛められている個体を別に移しても、次に弱い固体が代わりに苛められるだけです。本能にいじめが組み込まれているのでしょうね。

グッピーだけではなんですから、もう一つ例を上げると、イルカも酷い仲間いじめをすることで有名です(殺すところまで行くそうです)。

こうした動物におけるいじめの例は枚挙にいとまがありませんが、こうして見ると、人間も動物ですから、いじめは人間の生存本能に根ざしたものなのかも知れません。だから子供たちもいじめることが本質的な悪だとは思えないのではないでしょうか。

勿論、本能に根ざしたものであるからと言って、そのままにしておいてもいいと言うことにはなりませんが、ただ、現在言われているような、いじめを子供だけの問題と考えた表面的な対策では効果は期待できないと思います。

と言っても、私に素晴らしい解決策があるわけではありませんが。

では。