カサンドラの憂鬱 (続き)

89169.jpg昨日の続きです。

まず、予言者と預言者の違いを知らない人もいるようなので、簡単に説明しておきます。

聖書やギリシャ神話に良く出てくる預言者とは、神の言葉を預かり、民に告げる人間で、たとえば新約聖書で言えばヨハネですね。

これに対して、予言者は自ら未来を予言する人間で、歴史的に有名なのはノストラダムス、日本で言えば大本教の出口王仁三郎が上げられます。

すでに書いたようにカサンドラは不吉な予言をしたがゆえに疎まれました。

しかし、世の中には予知能力や霊感で予知したとして大地震や大災害の到来や世界の滅亡まで好んで口にする者がいます。

彼らは神やもろもろの超自然的な存在からお告げを受けたとか、最近では宇宙人からメッセージを託されたと主張します。

そして、根拠のないエリート意識から、多くは自分自身とその信者達だけが助かると信じ、あげくの果てにはそうした大災害を待ち望むようになったりします。

しかし、自分の予言を信じない人間は死ぬだの、修業の足りない人間は滅びるだの、そして、自分達だけが生き延びると言う人間はそれだけで品性がわかるではないでしょうか。

ましてや、自分の言うことを聞かないと地獄に行くなどと言う自称予言者に徳があるはずがありません。

私なら、仮にほとんどの人が死ぬのであれば、共に滅ぶことを選びます。

自分だけ生き残りたくはありません。ノアやロトにはなりたくないんです。

残念ながら現代には信頼に足りるような本物の予言者は一人としていません。

ノストラダムスの予言でさえ外れてしまったのに、彼に比肩すべくもない人間が一体なにを語れると言うのでしょう。

そして、占い師に関して言えば、様々なレベルの人間がいます。

しかし、絶対に不可避の不幸を予知できる人はいないでしょう。

占い師は予言者ではないし、その使命は人を絶望させることではないと思います。

では。