「ゴッド・ハンド」と英語で言うと、極真館の創設者、故大山倍達氏のことですが、私が取り上げるのは勿論、空手の超人ではなく、「霊体験と科学」に関連した話です。
日本にも外国にもいわゆるヒーラー(心霊治療者)が沢山います。
そして、彼らの多くは人の病んでいる部分に手をかざして治そうとします。
こうした手かざしによる治療は大昔から行われてきました。
たとえば、古事記に出てくるスサノオのヤマタノオロチ退治で、生け贄にされようとした娘の父親と母親はアシナヅチ(足名椎)、テナヅチ(手名椎)と云いますが、これは手や足をかざして治療するとの意味らしいんですね。
また、イエスの弟子たちもほとんどが手かざし療法が出来るようになり、奇跡を見せながら布教していったと言われています。
よく人は自分の痛いところに手を当てたり、子供の痛がるところをさすったりしますが、こうしたことを無意識的に知っているのかも知れません。
いわゆるカルト的な集団でもこうした手かざしによるヒーリングを行うところがあります。
実は、私の肉親もこうした治療を受けましたが、当然と云うべきか、治りませんでした。
だからといって、嘘だとは思いません。
実際に効果があった例も多いからです。
すべてをプラセボ効果※によるものとして、片付けることはできないでしょう。
※ プラセボは「擬薬」などと訳されています。 薬学的には効くはずのない薬で病気が治ってしまうことです。
言うまでもありませんが、これは一昔前に話題になったフィリピンの心霊手術とはまったく別の次元の話です(あれはほとんどがイカサマだったそうです)。
しかし、私が恐れるのは、すべての科学的医療を否定し、こうした心霊医療に頼ろうとする人がいることです。
確かに、近代医療は万能ではなく、さまざまな「副作用」をもたらしてきました。
しかし、その恩恵もまた大きく、決して無視できるようなものではありません。
私の知っているフランス人の女性は近代医療を嫌い、エイズまで心霊治療で治ると主張していましたが、これは明らかに行きすぎですね。
のめりこみすぎてはいけません。
特に、心霊治療を宗教に安易に結びつけることには注意すべきでしょう。
そうした人間の弱さにつけ込むカルト集団が多いからです。
よく云われることですが、きちんと現代医学を学んだ医者の中にも神の手を持っている人間がいるようです。
彼らは不可能と思われる治療を成功させ、名医と呼ばれています。
本当は、この形が理想なのではないでしょうか。
では。
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