「寄生獣 」と映像化権(続き)

163472.jpg昨日の続きです。

日本では作品のストーリー変更でも作家と揉めることがよくあるようです。

大抵の場合、目茶苦茶に改変されたことが原因ですね。

こんな話があります。

直木賞作家辻村深月さんの作品「ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ」をNHKがドラマ化することになりました。

NHKは、口約束で作家と出版社の承諾を取り付けただけで、撮影を開始し、その後も契約書を作成しません(昨日書いた通りですね)。

さらに、NHKはストーリーを大幅に改変するのですが、これに対して、講談社(出版社)は、より原作に沿う形での修正を要望します。

結局、話し合いは平行線のままに終わり、講談社は映像化の許諾を撤回しました。

これに対して、NHKは出演者のスケジュールも押さえており、現場の被害が甚大なため、約6000万円の損害賠償を請求し、提訴します。

契約書がないとの指摘に対して、NHKはテレビドラマの制作では番組完成後に契約書を作成する慣行があると反論。

そして、ストーリーの改変についても、「脚本家が考えた変更点のうち半分程度は原作者に納得してもらうのが映像業界の常識だ」などと主張しています。

なんでも「映像制作上の慣例」を理由にするわけです。

当然ですが、制作者側(テレビ局や映画会社)の方が立場が強いので、多くの場合、やりたい放題になってしまいます。

そして、「作ってやる」という姿勢になりがちです。

そのため、原作使用料も雀の涙しか払いません。

作品の宣伝になるからいいだろうという考えなんですね。

たとえば、最近、続編も大ヒットした映画「テルマエ・ロマエ」(2012年)は興行収入が58億円に上るのに、原作使用料はなんと100万円です(話題になりました)。

映像の世界でも国際化が進んでいますが、こうした悪弊が改善されない限り、小説やマンガ、そして映像の関係のさらなる発展は望めないでしょう。
では。