フランス泥棒事情(12) 暴力バー編

では、私の個人的経験の話。

今から25年ほど前、私がまだプロの通訳者としてデビューしてまもなくのことです。

あるクライアント−仮にJ氏と呼びます−に仕事が終わってから、食事に誘われました。

参考までに書いておきますと、普通、通訳者はクライアントのプライベートの食事には付き合わないのが原則です。

クライアントとフランス人との会食に参加する場合には仕事なので料金を請求します。

ただ、これを守るようになったのはずっと後のことですが。

まだ余り経験がなかった私は断ると悪い、と言うか、正直に言えば、一食浮くからラッキーと思い、よろこんで承諾しました。

そして、食事が終わった後、J氏は女のいるところに連れて行けと言うんですね。

日本式のキャバクラ(当時はありませんでしたが)と云った感じではなく、もっと直接的に欲望を満たせる店です(私の言わんとするところがわかってもらえると思いますが)。

こんな頼みも後には取り合わなくなるのですが、この時は客に気を悪くさせたくない一心でした。

ただ、純情ぶるわけではありませんが、私はその手の店には詳しないんです。

それで適当にタクシーに乗り、聞いてみたところ、運転手は私たちをパレ・ロワイヤル広場(オペラ通りの近く)の裏にある店に連れて行きました。

これといった特徴のない普通のバーです。

明日に続きます。IMG_0016.jpg

では。