昨日の続きです。
昨日、警察や裁判所が通訳をあまり重視しないと書きましたが、私の経験をご紹介します。
どちらかと言うと苦い経験ですが。
私が翻訳・通訳会社を経営していた時のことです。
ある日、パリ警視庁から電話がありました。
誰でもそうだと思いますが、たとえ後ろ暗いことがなくても、突然警察から電話がかかってくればドキッとします。
まあ、実際には日本人の並行輸入業者の取調べの通訳をしてくれとの依頼で、別に断る理由もないので引き受けました。
ただ、私自身は空いてなかったので、別の社員に担当させました。
日本ではどうか知りませんが、フランスでは依頼を引き受けた際には発注書にサインをしてもらうことになっています。
そしてこの書類には作業条件、特に料金が明記されています。
私は担当の社員にちゃんと責任者のサインを貰うように念を押しました。
しかし、彼は仕事の次の日に事務所に出てくると、担当の予審判事は忙しいからと、受け取っただけでサインはしてくれなかったと言うんです。
そしてろくに休みもなしに12時間も働かされた上、食事は自前だったと付け加えました。
私は、発注書はなかったものの、正規料金を適用した請求書(基本料金+超過勤務手当て)を作って送りました。
しばらく何の連絡もなかったのですが、2カ月ほどたった後、その予審判事から手紙が来ました。
司法関係の通訳作業は公定料金が定められていてそれ以上払えないとのことです。
そして、それが請求額の3分の1以下なんです。
しかも、12時間も働かせて、手当ては何もつかないと言っています。
続きます。
入札制の問題-警察での通訳
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