若者の読書離れ

IMG_0016.jpg昨日取り上げた記事に、「活字離れが嘆かれている今」との表現がありました。

本当によく聞きますね。

「最近の若者は本を読まないから、馬鹿になった」

しかし、実際には、「若者の読書離れ」は、「凶悪犯罪が増えている」「青少年の犯罪が増えている」と同じような根拠のない感覚的な意見でしかありません。

教養にあふれ品格のあった昔の人はもっと本を読んでいたはずで、古き良き社会ではもっと本が読まれていたというノスタルジックな幻想ですね。

読書世論調査等のデータを見ると、1950年代、60年代の若者はもっと本を読みませんでした。

学者や作家を目指すようなごく一部の学生は沢山読んでいたようですが、全体でみるとこの時代の若者の読書率は今よりも低い。

たとえば、1950年には6人に1人ぐらいしか読書をしていなかったのが、半世紀後の2005年には2人に1人が読書をするようになっています。

今の若者のほうがずっと本を読んでいるんですね。

ただし、読書の形態は変化していて、若者が新刊本を新刊書店で買わなくなっていることは確かです。

ネット書店やブックオフや電子辞書やケータイ小説など読者にとっての本の選択の幅が広がり、本と人間のかかわり方が変化しつつある中で、新刊書という存在の相対的な地位が低下しているのです。

それが出版不況に繋がり、出版社はもっと本を読ませようとして、間違いを承知で、読書離れを嘆くのでしょう。

ついでに書いておくと、ネットが読書離れの大きな原因であるとの考えに関しても、調査では、反対の結果が出てきます。

つまり、ネット時間が長い人ほどよく本を読むんです。

これに対して、テレビを見る時間が長いほど本から遠ざかるようです。

もう少し続きます。

では。