上の世代の人たちは、本が売れなくなった理由として、若者が本を読まなくなった、馬鹿になったからという説をよく口にします。
しかし、たかだか数十年で人間の脳がそれほど変わるはずがありません。
結局、いつの時代にも見られる、とにかく最近の若者は駄目だと思いたい症候群ですね。
若者が馬鹿になった説は、2003年にOECDが実施した学習到達度調査で、日本の順位が低下したことに一気に勢いを得ました。
そこでてっとり早く連想されたのは学力=読書量ということです。
日本では、読書=教養=知的能力というイメージ、幻想が根強くあります。
若者が読書離れしていることが知的能力の低下、ひいては学力低下につながっているのではないか。
しかし、この説の根拠となる統計データはどこにもありません。
ただし、学校読書調査からは、高度経済成長期においては小学生の読書率は落ちていないのに、中高生の読書率が落ちていることがわかります。
小学校の時はよく本を読んでいた子が、大きくなるにつれ部活や受験勉強に時間を取られ本を読む量が少なくなってきているのでしょう。
すでに書いた通り、書籍1点あたりで考えると、昔より新刊本が売れなくなってきています。
しかし、新刊本だけが書籍ではありません。
ネット書店やブックオフや電子辞書やケータイ小説等々のさまざまな形の媒体があります。
結局、若者の読書離れ説は、受け身の情報を唯一の判断基準としてきた旧世代による、価値観や読書観の変化に対する拒否反応なのでしょう。
では。
若者の読書離れ(続き)
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