歌とメッセージ(続き)

IMG_0016.jpg当然ながら、メッセージソングにも名曲と凡曲があります。

「花はどこに行った」(原題 「Where have all the flowers gone?」、作詞・作曲:ピート・シーガー)は、古い反戦歌で現在でも歌われる傑作です。

ご存じのように、この中では戦争は恐ろしいとか、嫌だといった直接的な歌詞はありません。

もしあったら現在まで残っていなかったでしょう。

私の個人的な考えですが、優れたメッセージソングは自分の気持や伝えたいことをそのまま歌詞にするのではなく、芸術的に昇華させたものでしょう。

ノーベル文学賞候補に何度もなったボブ・ディランも沢山のメッセージソングを歌っています。

「戦争の親玉」なんかはかなり直球で、戦争で金儲けする人々を厳しく批判していますが、どちらかというと名曲とされるのはより難解な歌詞の曲だと思います。

日本でもアメリカの影響を受けて、メッセージソングを歌うフォークグループが結構ありました。

いくつか素晴らしい曲もありましたが、全体的に何か真似事の感じが強かったですね。

それはいいとして、一つ、面白いエピソードを紹介します。

高田渡の「自衛隊に入ろう」(原曲:ピート・シーガー、作詩:高田渡)はかなり先鋭的な反戦歌で、自衛隊を風刺する皮肉が込められた歌です。

にもかかわらず、防衛庁(現防衛省)から自衛隊のPRソングとしてのオファーが出されたんです。

頭の固い自衛隊の人々には皮肉が通じなかったようです。

やはりメッセージソングはこのくらいひねったものでないと(といっても、普通、この歌の意味くらい理解できるはずですが)。

その点では、例のアイドルグループの歌はまったく駄目ですね。

誰が歌詞を考えたのか知りませんが、何のひねりもなく、時間もかけていないようです。

それで権力を批判したつもりになっているのは単なる独りよがりとしか言いようがないでしょう。

では。