不老不死の夢

20160213075448-b2261e61135201e13447fa2b9a9c644c8616c34a.jpgちょっと前ですが、本を読んでいると、人間の老化メカニスムが説明されていました。

なかなか面白いので、補足を加えて以下に簡単に説明します。

ちょっと難しいかも知れませんが、できれば我慢して最後まで読んでください。

そうすれば、きっといいことが・・・特にないなあ。

ご存知のように人間の体は無数の細胞から構成されていますが、この細胞のそれぞれにも当然ながら寿命があります。

といっても、細胞は死ぬ時に分裂を行い、自分のコピーを造って後を託します。

そのお陰で人は成長しますし、成人してからも生命を維持することができるわけです。

ただ、人間の細胞は理論的には無限に増殖(分裂)できるはずなのですが、実際には60〜70回で止まってしまいます。

そして、この細胞分裂も完全ではなく、しばしばコピーミスを起こすんですね。

勿論、そのコピーミスは修復されますが、ある時期を過ぎると、この修復はだんだんと精度が下がっていき、修復自体も最終的には止まってしまいます。

こうして、ミスが積み重なることにより自律神経やホルモンの分泌に狂いが生じて、肉体にガタが来たり、肌に張りがなくなり、皺が増えていきます。

これが老化現象です。

ということは、誰でも考え付くでしょうが、コピーミスの修復を永遠に続けさせることができれば、不老不死を実現できるわけですね。

実はそれが最近の研究では必ずしも不可能とは言えなくなってきたんです。

細胞の中には永遠に完全なコピーをし続ける細胞があります。

それがガン細胞です(ただし、ガン細胞は細胞分裂の際、コピーの後に片方が死ぬというルールを無視する為、正常な細胞の領域を侵し生物を殺してしまいますが)。

このガン細胞と通常細胞の違い、特に修復行動を停止するスイッチを研究した結果、細胞の中にある「テロメア」という物質が細胞分裂の度に形を変えている事が分かりました。

通常の細胞では、テロメアは特定の繰り返し塩基配列を持ち、染色体の構造を安定に保っているんですが、DNAが複製する度に複製の機構上末端部分の複製は行われず、従って細胞分裂の度にテロメアは宿命的に短くなっていきます。

しかし、ガン細胞には短くなったテロメアを元通りに修復する酵素、テロメラーゼが多く存在しているんですね。

ここまで来れば、後は簡単です(実際にはそうでもありませんが)。

通常細胞にテマローゼを与えればいいわけです。

理論的にはここまで来ていますが、実用化はまだまだ先のことでしょう。

また、仮に実現しても多くの問題が予想されます。

続きます。

では。