ちょっと前に仕事の関係で「眠れる森の美女」をフランス語で読みました。
この童話はディズニーでアニメ映画化されていますし、バレーなんかにもなっていますから、ほとんどの人が知っているでしょう。
それで日本語とフランス語のタイトルを見て、ちょっと気になったことがあります。
「眠れる森の美女」と云うと、眠っているのは森でしょうか、美女でしょうか。
日本語だとどちらにも取れますね(日本語の曖昧さです)。
ただ、内容を知っていますし、普通に考えても森が眠るのはおかしいですから、大抵の人は眠っているのは美女だと考えると思います。
この場合、正確を期して書くと「森の眠れる美女」ですが、座りが悪いというか美しくないですね。
ところが、フランス語のタイトルは「La Belle au bois dormant」で明らかに眠っているのは森なんです。
ですから、日本語題には「眠りの森の美女」といったものもあって、こちらは明らかに原題に忠実ですね。
曖昧さはありません。
ただ、ストーリーも見ると、森は別に眠ったりしませんから、なぜこんな題名をつけたのかわかりませんが。
ちなみに英語のタイトルは「Sleeping Beauty」でこちらにははなから森は出てきませんし、疑問の余地はありません。
ただ、ちょっと説明が足りないような感じもしますが。
それから、この童話のストーリーですが、もともとはヨーロッパの古い民話ですから、様々なバージョンがあるようです。
まあ、日本でもっとも知られているのはグリム童話版でしょうね。
アニメもこれに基づいています。
ただ、フランスでよく知られているペロー版(ペローは「青髭公」などを書いた作家です)では、話は王子との結婚では終わらないんですね。
後半があります。
姫は王子と結婚して、子供を2人もうけます。
そして、王子は父王の後を継ぎます。
しかし、王子が戦争に出かけて留守の間に、王子の母親である王妃が子供たちと姫を食べようとするんです。
彼女の正体は人食い鬼だったわけですが、父王は財産のために結婚したことになっています。
また、随分なお父さんですね。
それにこの母親は本当の鬼姑です。
勿論、執事の機転で子供たちと姫は助かり、王妃はマムシが一杯入った大桶に身を投げて死んでしまいます。
めでたしめでたしと言うわけですね。
しかし、よく考えるとそう安心もできないんじゃないかなあ。
王子は母親の血が半分入っているわけですから、しばらくは大丈夫だとしても、そのうちに人食い鬼の血が騒ぐことがあるかも知れませんからね。
知らないうちはいいですが、知ってしまった後、姫はどうしたんでしょう。
愛があるから大丈夫だと思っていたんでしょうか。
子供もいますからね。
ただ、この子供も人食い鬼のクォーターですから、そのうち夜に徘徊するようになるかも知れません。
ううむ。
私に才能があれば、続編を書くんですが。
では。
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