その後の眠り姫

20160223070628-48e524f4886a6adf23e77a30a5b4707425628938.jpgちょっと前に仕事の関係で「眠れる森の美女」をフランス語で読みました。

この童話はディズニーでアニメ映画化されていますし、バレーなんかにもなっていますから、ほとんどの人が知っているでしょう。

それで日本語とフランス語のタイトルを見て、ちょっと気になったことがあります。

「眠れる森の美女」と云うと、眠っているのは森でしょうか、美女でしょうか。

日本語だとどちらにも取れますね(日本語の曖昧さです)。

ただ、内容を知っていますし、普通に考えても森が眠るのはおかしいですから、大抵の人は眠っているのは美女だと考えると思います。

この場合、正確を期して書くと「森の眠れる美女」ですが、座りが悪いというか美しくないですね。

ところが、フランス語のタイトルは「La Belle au bois dormant」で明らかに眠っているのは森なんです。

ですから、日本語題には「眠りの森の美女」といったものもあって、こちらは明らかに原題に忠実ですね。

曖昧さはありません。

ただ、ストーリーも見ると、森は別に眠ったりしませんから、なぜこんな題名をつけたのかわかりませんが。

ちなみに英語のタイトルは「Sleeping Beauty」でこちらにははなから森は出てきませんし、疑問の余地はありません。

ただ、ちょっと説明が足りないような感じもしますが。

それから、この童話のストーリーですが、もともとはヨーロッパの古い民話ですから、様々なバージョンがあるようです。

まあ、日本でもっとも知られているのはグリム童話版でしょうね。

アニメもこれに基づいています。

ただ、フランスでよく知られているペロー版(ペローは「青髭公」などを書いた作家です)では、話は王子との結婚では終わらないんですね。

後半があります。

姫は王子と結婚して、子供を2人もうけます。

そして、王子は父王の後を継ぎます。

しかし、王子が戦争に出かけて留守の間に、王子の母親である王妃が子供たちと姫を食べようとするんです。

彼女の正体は人食い鬼だったわけですが、父王は財産のために結婚したことになっています。

また、随分なお父さんですね。

それにこの母親は本当の鬼姑です。

勿論、執事の機転で子供たちと姫は助かり、王妃はマムシが一杯入った大桶に身を投げて死んでしまいます。

めでたしめでたしと言うわけですね。

しかし、よく考えるとそう安心もできないんじゃないかなあ。

王子は母親の血が半分入っているわけですから、しばらくは大丈夫だとしても、そのうちに人食い鬼の血が騒ぐことがあるかも知れませんからね。

知らないうちはいいですが、知ってしまった後、姫はどうしたんでしょう。

愛があるから大丈夫だと思っていたんでしょうか。

子供もいますからね。

ただ、この子供も人食い鬼のクォーターですから、そのうち夜に徘徊するようになるかも知れません。

ううむ。

私に才能があれば、続編を書くんですが。

では。