続きです。
蛇足を書きますと、怪物はフランケンシュタインからわざと逃げなかったんですね。
彼を父親と思い、愛憎が入り交じった感情を抱いていたわけです。
しかし、私に言わせれば、すべてフランケンシュタインの責任でしょう。
彼は自分の研究の本当の意味をろくに考えもせずに、生命を作り出し、その結果に驚いて逃げ出しています。
そんなことなら初めからやらなきゃいいんです。
まったく責任感がないというか。
しかも、自分が作り出した怪物がをどうなったかも気にもせずに、故郷に帰って結婚します。
その上、怪物の伴侶となる女性の生命体を作るとの約束も反故にしています。
これでは怪物が怒って当然でしょう。
まあ、フランケンシュタインの係累を皆殺しにするのはちょっと行き過ぎですが。
昨日書いた粗筋なんですが、別の見方をすることができます(昨日の文章はフリだったんですが、長すぎたかな)。
すべてはフランケンシュタインの幻覚のなせるわざだったと解釈することです。
フランケンシュタインは、研究に明け暮れ、疲れた果てたあげく麻薬を打ち、精神のバランスを失ったんですね。
彼は医学も勉強していましたから、麻薬なんかも簡単に手に入ったはずです。
そして、幻覚の中で幼い弟や親友、そして新妻まで殺してしまったんです。
しかし、無意識下では殺人を犯したことを知っていますから、罪の意識から逃れるために怪物を想像で作り出したというわけです。
その証拠に、彼以外に怪物を見た人間はいません。
そして、やはり無意識のうちに罪をつぐなうために、北極まで行き、最後は自殺します。
といった具合です。
まあ、この程度では大して新解釈とは言えません。
ひねりが足りないと言うか。
現代の読者は小説「フランケンシュタイン」の書かれた時代よりもずっとひねくれていますから、あと2ひねりくらいしないと誰も驚いてくれないでしょう。
ちなみ書いておきますと、SF・ミステリー作家の山田正紀さんはフランケンシュタインの妻殺しを彼自身を犯人とする短編小説を書いています。
ただ、怪物は実際に存在したことになっていますが。
では。
フランケンシュタインとその怪物の物語(3)
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