人はなぜ死ぬのか?

今日はある意味、永遠のテーマを取り上げます。

「なぜ人は死ぬか」です。

ただし、哲学的な方向へは行きません。

もっと生物学的な視点の話になります。

世の中にはさまざまな健康食品や健康法で溢れています。

まあ、当然でしょう。

人は豊かになり、余裕が出来てくるに従って、健康に目を向けるようになります。

そして、現在の健康も大事ですが、長期的な健康、つまり長寿が目標になってきます。

これも当然ですね。

人は本能的に長生きを望むものですから。

ところが、人間はその遺伝子そのものに死がプログラムされているらしいんです。

人体はそれぞれの免疫臓器にT細胞(免疫担当細胞。詳しくは自分で調べてください)を供給することにより、身体全体の免疫反応をコントロールする胸腺という免疫システムを持っています。

しかし、この胸腺は年齢と共に縮むんです。

60代で4分の1が脂肪に変わり、80代でほとんどなくなってしまいます。

だから、人間の免疫反応は年齢と共にしだいに鈍くなっていきます。

また、遺伝子のDNAは100%正確に情報を伝えることができないという説もあります。

理論的には細胞は無限に増殖できるはずですが、60〜70回で止まってしまうんですね。

そして、遺伝子の情報エラーが繰り返されると、自律神経やホルモンの分泌に狂いが生じて、それが積み重なると人間は死ぬわけです。

なぜこうしたメカニスムがプログラムされているかはわかりません。

生き物は結局、遺伝子を世代から世代へと運ぶための乗り物にすぎず、もともと人間は死ぬように作られていると考えるしかありません。

種の維持のためには個体を犠牲にせざるをえないんです。

最近では、生物の進化は種全体の繁栄維持がすべてではなく、自分の利益を優先させると考えられているものの、それでも生物の死は種の維持のために必要なのです。

本能レベルでは人間は生きようとするのですが、肉体のメカニズムはこれを裏切っています。

だからある意味では人が長寿を求めることは自然に反していると言えるかも知れません。

できるだけ自然食を摂って長生きを目指すことが皮肉なことに自然に反することになるんですね。

では。