少し前のことですが、あるスポーツ新聞のコラムに「親の死に目にも会えない。プロとはそういう覚悟を持って戦う"特殊な人"だと思っている」と書いてありました。
これはある有名スポーツ選手が、家族の急病を理由にツアーを「ドタキャン」したことを指しています。
しかし、実はその選手の妹は交通事故で亡くなったんですね。
記事が書かれた時は重体だったかも知れませんが。
この記者は人の情がわからないのでしょうか。
なんでも厳しいことを言えばいいというものではありません。
昔からよく「芸人や役者は親の死に目に会えない」と言われていました(それが今ではスポーツの世界にまで広がっているわけです)。
そして、実際に親が死にそうになっているのに舞台を下りなかった人がいるようです。
日本にはこうした姿勢をなぜか褒めたたえる傾向があり、美談として語られます。
だから最近なっても、たとえば野球の外国人選手が奥さんの出産に立ち会うために試合を休んで帰国したりするとメディアに強く批判されたりします。
しかし、プロであるということは決して仕事を何よりも優先するということを意味しません。
人生においてもっとも大切なものは人によって違うでしょう。
だから仕事優先の人間がいても構いませんが、それがベストの生き方であるかというと大いに疑問です。
大体、家族よりも仕事を優先するようなことがあれば、離婚されても文句は言えないでしょう。
もっと言えば、それなら最初から結婚なんかしなければいいし、家族とも縁を切るべきです。
独りよがりの美学で「親の死に目に会えない」と言うのは勝手ですが、本当はその人間が人としての情を持っていないということを示しているだけではないでしょうか。
では。
コメント