現代の迷信(2):月光魔術

20151129080833-07fc5a2cd01a919b4cc82d7787a0fd0bb6976a90.jpg昨日の「バイオリズム」に似た概念に「バイオタイド」があります。

この言葉は知らなくても、月が生物に及ぼす影響のことだと言えば、思い当たると思いあたるでしょう。

人間の体は80%が水分であり、生体にも潮汐作用が起きているはずである。

この生物学的な潮汐こそ人間の行動と感情を左右するもので、このリズムを通じて生命体は宇宙と結びついている、との説です。

これについてはリーバー博士という人が書いた有名な「月の魔力」と言う本があります。

博士は1956年から1970年にかけて米国フロリダ州デイド郡で発生した殺人事件についてデータを集め、月齢との関係を調べました。

すると、満月の時に殺人事件の発生がピークに達していることがわかったのです。

また、満月の夜には出産率や死亡率(殺人以外の)が非常に高くなるとも言われています。

そして、月を意味する「ルナ」から派生した「ルナティック」は狂気を意味しているんですね。

しかし、この魅力的な説も、後に多くの人が同様のデータを取って調べたのですが、結果は否定的なものでした。

リーバー博士の得た結果はどうも偶然だったようなのです。

また、出生や死亡についても研究が行われていますが、月の満ち欠けの間になんらの相関関係も見られなかったとのことです。

月は大変美しい天体ですから、見つめることはよくあると思います。

そんな時に、一種の催眠状態と言うか、トランス状態になることもあるのかも知れません。

なんとなく魔力のようなものを感じるのはまあ当然でしょう。

しかし、そうしたロマンティックな感情に流されて、根拠のない「学説」を信じるのはやはり危険なんですね。

ロマンはロマンとして、常に、客観的な科学的事実を弁えておかないと、必ずその隙を突こうとする人間が出てくるからです。

では。