日本語論争:日本人対フランス人

20160306171642-3b4aa206e9b22d9f9d8b7515e384fea599c575a4.jpgのサムネイル画像昨日の文章を書いていて思い出したことがあります(テーマからは若干ずれますが)。

大昔、まだパリで学生をしていた頃の話です。

前にも書いたように日本語学部翻訳科にいました。

当然ながら先生の大半はフランス人でかなり日本語ができるんですね。

その中でも学年主任のO教授は、大変な日本語使いで、夏目漱石の翻訳でも知られていました。

O教授はミッテラン大統領が日本に言ったときには公式通訳を務めています(この時に大失敗をしているのですが、その話は今日のテーマと関係がないのでまた別の機会にします)。

そのO教授がある時「木の根元」の説明をしたんですが、木の下の方の土の中に入った部分のことだと言うんです。

人によって感じ方が違うのかも知れませんが、私は「根元」は土に潜っている部分ではなく、木の下の方でも土の上に出ている部分のことだと思いました。

それでそう言ったのですが、O教授は木の根の元だから土の中の部分に決まっていると譲らないんですね。

それから「家の裏口に出る」という表現の時も、私と意見が違いました。

ひょっとしたらわからないかも知れないので念のために書いておくと、昔の一戸建ての家には玄関と裏口(勝手口)があって、御用聞き(これもわからないかな。お客さま以外の訪問者だと思ってください)なんかが来た時は裏口に回ったんですね。

それでO教授は「裏口に出る」は裏口から外に出ることだと説明しました。

私は単に裏口に行って、外に出ないで、御用聞きなんかの相手をすることだと言ったのですが、聞かないんです。

O教授は日本語が素晴らしく堪能だとはいえ、こっちは日本人ですからね。

それでも引かない。

多分、同じようなことが外国語が堪能な日本人にもあるんでしょうね。

こうした細かいところでの勘違いのようなものが。

それでもフランス語、まあ英語でもいいでですが、外国語のことでその言葉を母国語とする人間の言うことを聞かないなんてことは、わかりませんが、まずないんじゃないかな。

まあ、相手は教授ですからこちらも適当なところで引き下がりました。

とにかくフランス人は頑固ですからね。

では。