そして、真夜中になると昨夜と同じように声がしました。
運命は立ち上がって小さな木製の箱のところに行くと、
銀貨をどっさり取り出しました。
「新しい魂には、今日、わたしが楽しんだだけの恵みをやろう」
運命は叫んで、銀貨をばらまきました。
朝になって男が目を開けると、そこはさらに小さな家でした。
その夜の夕食もさらに質素になっていました。
そして、夜中に猛々しい声が叫ぶと、運命はその日、
生まれた魂に銅貨をあたえました。
これが毎日続き、とうとうある日、男が目覚めると、
ちっぽけなあばら屋にいました。
運命は外にいて、食べる物を探していました。
その夜の夕食は小さなパンが一個でした。
真夜中に猛々しい声が叫ぶと、
運命は小さな木製のたんすを開けて、
小石と小銭をばらまきました。
「新しい魂には、今日、わたしが楽しんだだけの恵みをやろう」
運命は宣言しました。
「彼らは一生、今のわたしのように暮すだろう!」
朝になると、貧乏な男はまたもや壮麗な城にいました。
すると、運命が貧乏な男のほうを向いてたずねました。
「なぜ、はるばる、わたしに会いにやって来たのかね?」
「おれは朝から晩までいっしょうけんめい、働いているんです。
それでも、不幸ばかりが次々に起きる」貧しい男は説明しました。
「だから、その理由を教えてもらおうと想ってやって来たんです」
コメント