愛のおはなし②~天地を超えた夫婦愛~【夫婦】

愛のおはなしシリーズ第二回目のテーマは「夫婦」
夫婦は必ずどちらかが先にあの世へ帰ります
例外はあっても最期はひとりきりで旅立つのです
今回は亡くなった後も 愛するがゆえに生きているパートナーに寄り添い 
守り続けるとある亡霊のおはなしをします
ふたりの出逢いはお見合いでした
良家生まれのふたりは裕福な家庭で育てられ 家庭環境が似ていることもあり
すぐに意気投合し 惹かれ合います
特に妻は夫好みの魅力溢れる女性だったので一目惚れでした
やがてふたりは結婚し 倖せに暮らしていたのですが子宝には恵まれなかったのです
夫は妻と一緒にいるだけで倖せだったので 子供ができない事にこだわってはいませんでした
しかし妻は姑からのプレッシャーにより 内心とても苦しんでいたのです
姑は家柄をとても誇りにしていて 名家の跡取りを切望していました
それが己の使命だとこの姑は勘違いしたのです
そのため姑は事あるごとに息子には聞かず 嫁に「子供はまだですか?」と圧力をかけ続けました
夫は母と妻の間に立たされ 板挟み状態
事なかれ主義の夫は特に何もしませんでした
そんな甲斐性無しの夫でしたが 妻とふたりきりの時は 優しく愛情をかけ 労り続けたので
妻は夫に対して不満はあっても 愛情は無くならなかったのです
こうして夫婦は長い年月を重ねて絆をつくっていきました
夫は妻の支えもあり勢力的に働き その結果とんとん拍子に出世をしていったのです
しかし出世の先に待っていたのは欲に駆られた悪しき人間たちでした
夫は大きな権力を握った為 その権力を利用しようとする者や嫉妬や妬みにより
足を引っ張る者が大勢寄ってきたのです
その結果 夫は権力を誇示するため悪行にも手を染めるようになりました
夫だけではありません
権力者の妻ということで この女性にも取り入れられようと 欲で近づいてくる者もたくさんいました
この夫婦はふたりとも良家育ちで世間知らずな部分があり 世の悪というものを知らずに生きてきたのです
そのため夫婦共々悪心になり 悪行も当たり前になっていき 周囲の人間を巻き込んでいきました
ふたりは罪をつくりました
この夫婦の様子を天から見ていた神は悲しみます
ふたりとも根は善良な人間のため 悪の手によりここまで落ちてしまったことが とても残念でならなかったのです
悪に染まった夫は危機的状況に陥り そして考えられない程の不幸な死を迎える事に
悪魔が手を下したのではありません
神がこの夫を救う為 人生に終止符を打ったのです
これ以上 悪行をさせたくない させるわけにいかないと神は判断されました
夫は確かに数多くの悪行を重ねましたが 素晴らしい偉業を成し遂げたという事もまた事実だったのです
妻は夫の突然の死に対し 受け入れる事ができません
絶望と深い悲しみが彼女を襲います
夜ひとりきりになると 『私も死にたい』と思うことも
同時に夫の死に関わった者に対しての憎悪が募り 復讐心に駆られていきました
そんな荒れ狂った妻の様子を夫は亡くなった後も ずっとそばで見ています
夫はわかっているのです
心の隙間ができた時 自殺願望や復讐心が湧き出て それが悪魔達を引き寄せるに❛エサ❜になるという事を
なので夫は気が気ではありません
夫が亡くなった後も 妻はこの世でトップクラスの権力を持つものとして 悪魔達に狙われているのです
悪魔達の目的は妻の身体を乗っ取って この世での権力を持ち 世界を自分達の思うがままに支配すること
いつでも妻の心に隙ができるのを見張っています
しかし悪魔達は手が出せません
夫が愛する妻を守るために 亡霊になった後もそばで守り続けているからです
夫は帰るべき身ではありますが 神はこの世にいる事を許しています
なぜならば愛が全てだからです
悪魔達は愛がとても苦手
愛の前では身動きが取れなくなってしまいます
そのため妻に手出しができないのです
神はそれもわかっているので 夫のする事を黙って見守っています
あなたはこの愛をどう受け止めますか?